研究課題/領域番号 |
18K02835
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
関田 一彦 創価大学, 教職研究科, 教授 (70247279)
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研究分担者 |
山田 嘉徳 大阪産業大学, 全学教育機構, 准教授 (60743169)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 授業観 / 授業改善 / FD研修 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響を受け、新たな質問紙調査の実施が困難となり、すでに蓄積したデータを用いた分析を継続した。その結果、学生の能力をすでに決まったものと見る傾向(固定能力観)の強い教員は、授業改善に消極的な傾向が強いことが窺えた。一方、学生の能力は向上できると考える教員は、授業改善に前向き(授業改善志向)なことが示された。また、周囲から授業改善に向けた支援や承認を得ていると感じる(支援受容感)教員ほど、授業改善に前向きなことも認められた。さらに、自らの授業に自信がある(授業効力感)だけでは明らかではないが、周囲からの支援を感じる度合いが高いと、新たな教育方法を試そうとする傾向が現れることが示唆された。当初は、新たな調査を通じてサンプル数を増やし、尺度の信頼性の向上を図りつつ、これらの解釈の妥当性を確認し、報告する予定だったが、そこまで至ることができなかった。 また、これらを踏まえ、アクティブラーニング研修など授業方法の改善に関する教員研修を行うにあたり、①学生の能力は可変であり、指導法によって向上する余地があること、②新たな教育方法を試みることに大学は協力的であること、を明示することで、研修の実効性が上がる可能性が考えられた。実際は、対面でのFD研修が軒並み中止となり、この可能性を検証することができなかった。 さらに、上記のような授業観と授業改善意欲との関係について、大学の教員に限ったものか、高校の教員にも同じことが言えるのかを探る計画であったが、やはりコロナ禍の影響で調査票の試案作成に留まり、実際の調査を実施することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の中で、対面からオンラインへ授業形態が移行し、現場はその対応に多くの時間とエネルギーを費やすことになった。そのため、本研究に協力予定の大学でも調査実施の機会がなくなり、新たなデータの収集が困難になった。 また、これまでの知見をもとにFD研修会の改善を図ろうと計画していたが、対面での研修会が軒並み中止となり、まったく計画が実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も感染は終息しておらず、上半期は対面でのデータ収集は困難である。そこで、調査項目を修正し、グーグルフォームを用いた調査を可能にする。これにより、サンプル数を増やし、尺度の信頼性を確かめる。また、複数の高校に調査協力を依頼し、高校教員の大学教員の授業観の対比を試みる。 感染が終息し、対面での授業法研修が可能になった段階で、本研究者が行う研修会を利用して、授業観に配慮したプログラムを試行する。仮に感染拡大が止まず、下半期も対面での研修が困難になった場合、導入やまとめのモジュールを学会などで提案し、少なくとも他大学のFD担当者が試行できるように支援する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で予定した研究活動は、文献研究やデータの再分析などを除いて、ほとんど遂行できなかった。そこで、今年度は質問紙調査やインタビューをオンラインで実施できるものに替え、遅れているデータ収集を急ぐ。 研修の効果測定については、対面研修を前提にしており、下半期、可能な限りで実施する。
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