研究課題/領域番号 |
18K02838
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
岡部 幸徳 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (00465486)
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研究分担者 |
中谷 常二 近畿大学, 経営学部, 教授 (70398501)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技術者倫理 / 経営倫理 / 統合教育プログラム |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年からのCOVID19パンデミックの影響から、当初予定した研究計画は残念ながら滞った。その影響から具体的活動と研究実績は以下に記すとおり非常に限定されたものになったが、重要な成果として以下の3点があげられる。1.海外研究協力者であるレスター大学シグモンドワグナーツカモト博士との「新ケースメソッド教材及び授業内容の共通化」の実施。2021年から英国におけるCOVID19パンデミックの沈静化とそれに伴う英国政府による「行動制限緩和措置」が進むに伴い、英国側の授業実施形態が対面式授業での開講に回帰した。それにあわせ2022年1月から3月にかけて、オンラインや電子メールによるワグナーツカモト博士との打ち合せを実施した。さらに2021年度に本研究テーマのもとで遠藤菜央氏と作成したケース教材「宇宙エレベータ」を英国レスター大学講座の「企業倫理論」との共通使用ケース教材とする為に、筆者が英訳を行いワグナーツカモト博士と意見交換の上、共通の解説を開発した。2.本研究の協力社での「オンライン技術者倫理研修会」において、前出の「宇宙エレベータ」を使用し実施した。対象は品質保証部門、研究開発部門、生産拠点などの従業員700名程度を対象として5回にわけて実施した。この研修会は2021年、2022年にわたり行われる。3.新たな企業倫理論用で使用できるテキストを共著、出版した。担当17章 岡部幸徳、遠藤菜央著「技術者倫理と経営」,高浦康有他編著『理論とケースで学ぶ企業倫理入門』,白桃書房を発刊した。研究協力機関の一つである「日本経営倫理学会 経営倫理教育研究部会」のメンバーを中心とした。なお、同学会常務理事で東北大学大学院経済学研究科の高浦康有氏が編著者を務めた。本書は企業倫理の初学者を読者対象としており大学などのテキストとしての使用を想定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年3月時点でCOVID19の影響により大きく計画変更を余儀なくされた点が大きい。この点を勘案しオンラインによる打ち合せを行い、電子メールや信用のおける外部ストレージを利用したデータファイルのやり取りによって新たなケースメソッド教材の共同開発を実施できたことは評価できる。これによって科目としての「企業倫理論ー国際共通講義プログラム(仮称)」の構築が大いに進展した。また、英国側の対面授業が2022年から行われたことから、さらに日本と英国の物理的往来の制限の大幅緩和が実現し、直接的に英国レスター大学現地を訪問する事が可能になろう。また、オランダ・デンハーグ大学の研究協力者からも対面授業再開可能性について連絡があった。これらのことから、共通の授業内容、教材を日、英、蘭の大学の「企業倫理論」にて使用できることから、「企業倫理論」関連科目についての国際的な「質保証」のフレームワークの構築についての2022年度以降の具体的な研究の進展が見込めよう。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる為、米国経営倫理学会、米国プロフェッショナル応用倫理学会にて、「企業倫理論ー国際共通講義プログラム(仮称)」についての発表を計画する。また、英国、蘭国の研究協力者に対して直接に「企業倫理論ー国際共通講義プログラム(仮称)」の紹介と報告を行う予定である。但し、現在はワクチンの普及によって同ウィルスが全世界的に猛威を振るう環境下ではないとはいえ、COVID19パンデミック禍にある事は変わらず、米国、英国、蘭国などとの研究活動はオンラインで行なうことも視野に入れて検討する)。また、国内では「企業倫理論ー国際共通講義プログラム(仮称)」の他の研究者への紹介と試行を継続する。具体的には本年度「研究実績の概要」にてかかげた新テキストを執筆したグループメンバーの19名のほとんどは、同時に各自の本務校において科目としての「企業倫理論」および関連科目を担当していることから、「学習のしやすさ」、「おしえやすさ」「使いやすさ」などの向上が見込める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から継続しているCOVID19パンデミックのため、海外研究機関との直接的なやり取りが行えなかった。また、共同執筆を行った著書『理論とケースで学ぶ企業倫理』については、本研究予算からの費用拠出の必要が生じなかった為、次年度使用額が生じることとなった。次年度においては、8月にシアトルで開催される「SBE(米国ビジネス倫理学会)年次大会」への参加、及び2023年に開催が予定される「APPE(米国専門職及び応用倫理学会)」への研究分担者、研究協力者との参加を予定する。また、新たな教材開発やその共有化を目的とした海外研究協力者との打ち合せも計画している。これらの研究成果は本研究のベースとなる本務校及び日本経営倫理学会等のHPなどで公開を行う予定である。
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