2023年度に実施した研究成果は以下の通りである。 本年度は研究の新たな討論用教材の開発と「統合プログラム」の周知、公開とその実施に焦点を置いた。昨年度発刊された2つの共著書籍も刊行されたことから、本研究拠点の帝京平成大学刊行の「研究シーズ集」への掲載を通して「統合プログラム」の周知を行った。本年度新規に統合プログラムにおいて使用する「エシックス討論用教材」を作成し、英国、米国の大学で研究を行っている海外連携研究者達による本教材の試用と意見交換による評価を行った。具体的には①開発途上国における井戸の掘削と現地の生活習慣を巡る「善意の井戸」、②子供達の声などの騒音について1名の苦情を争点とする「公園」、③学校内における子供同士の盗難事象への親の対応を検討する「お願い、、言わないで」の3つのケースメソッド教材を作成した。これらは英国のシグモンド・ワグナーツカモト博士(ドイツ出身)、アストン大学工学部のステファン・ギャレット博士(英国出身)、リンカーン大学工学部のニック・クラシコノフ博士(ブルガリア出身)及び来日された米国ハワイ大学西オアフ校に在籍し教育学を専門とするキースサクダ博士によってディスカッッションが行われ、その意見を収集した。これらの3ケースは異国の文化、風習や慣習が争点となりやすく、相違点を認識しやすい内容である。さらにレスター大学で法学の専門家であるナイジェリア出身のノーマンライヤット博士もケース検討と意見交換を実施したことで、国際的使用に供するケース教材として活用可能な「質保証」ができたといえよう。これらの研究実績とその成果は、当該ケース実施時の解説用教材ファイルとしての基盤的役割を担う。最後に、本研究の公開と発表については、本研究の本拠地となる帝京平成大学ホームページ、および物理的研究紹介用冊子の「研究シーズ集」に記載されており、誰でもアクセスしうる環境にある。
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