研究課題/領域番号 |
18K02842
|
研究機関 | 鈴鹿大学 |
研究代表者 |
小川 真由子 鈴鹿大学, こども教育学部, 准教授 (70736389)
|
研究分担者 |
福田 博美 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90299644)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 養護教諭 / 高機能患者シミュレータ / シミュレーション教育 / 救急処置 / 臨床判断 / プログラム開発 / 学校看護 / バイタルサイン |
研究実績の概要 |
3ヵ年計画の初年度であった昨年度では、「食物アレルギーにおけるアナフィラキシー対応」に焦点を絞り、その対応についてのシミュレーション教育プログラムの提案や評価、課題などについての調査をまとめた。シミュレーション教育を実施するにあたり、高機能患者シミュレータを活用したプログラムは効果が得られる教育方法であることが裏付けられた。 2年目である2019年度では、前年度のプログラム提案に基づいたシミュレーション教育を実施し、様々な結果と課題が得られた。対応の違いを学生と現職で比較したところ、アナフィラキシーにおける救急処置(エピペン投与)に至るまでに、応援要請や救急車の手配、保護者への連絡などの学校組織対応に関して大きな相違点が見られた。また、動画分析と自由記述から臨床判断の傾向を分析した結果では、息苦しいという本人の訴えと呼吸苦症状の確認行動が結びつかなかったことや、各学校に配布されているはずのアナフィラキシー対応マニュアルを見ながらの行動は認められなかったことなどが明らかになった。 また、調査対象を大学院生や保育者を目指す学生、特別支援学校に努める全職員など、幅を広げてシミュレーション教育の効果を確認している。加えて、共同研究者らとともに養護教諭の臨床判断に関する測定用具を開発し、その妥当性・信頼性が検証されたことを学会にて発表した。その用具を使って質問紙調査を実施し、養護教諭の臨床判断には、年齢や経験年数は関係がなく、看護系教育を受けた経験と他者受容の態度が大きく関与していること、フィジカルアセスメントをすすめる上で他者への細やかな配慮が関係していることが明らかになった。 今後はこれらの調査で得られた成果を、シミュレーション教育プログラムの内容に反映させ、高い教育効果が期待できるものに昇華させることを目指したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3ヵ年計画の2年目であり、初年度同様に順調に研究計画を遂行できている。 調査も予定通り実施でき、昨年度の結果のアウトプットも含め、依頼講演1件、論文4本、学会発表7本(うち1本は国際学会発表)と多くの業績を還元することができた。 来年度で集大成となるような研究計画にもとづき、引き続き推進していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度にあたり、これまでの成果を集約して最終目的であるシミュレーション教育プログラムの開発に到達できるよう、研究を推進していきたいと考える。 また、3ヵ年計画を達成できたその後の新たな研究課題の探求と、新規の研究テーマの模索も併せて実施していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年1月以降、新型コロナウィルス感染症による学会の不開催(The 6th WANS:於神戸市)による交通費がかからなくなったため。
|