研究課題/領域番号 |
18K02850
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研究機関 | 長野県工科短期大学校 |
研究代表者 |
野瀬 裕昭 長野県工科短期大学校, 情報技術科, 教授 (60774940)
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研究分担者 |
新村 正明 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20345755)
國宗 永佳 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (90377648)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IoT / AI / 機械学習 / ディープラーニング / Society5.0 / IoTサービス構築 |
研究実績の概要 |
本研究は,製造業における生産現場や社会生活における様々な問題を IoT を用いて解決することが可能な現場技術者の育成を行う教育カリキュラムの開発を 目指している.この実現のために,各教育機関における実習で利用するための教材開発と,これを利用した実習のカリキュラム開発を行うこととしている.具体 的には,IoTを構成する要素技術である【端末構築】と【データ解析】に関するバックグラウンドの知識・技術の習得を容易に行えるシステムの開発,さらにこ れらを用いた IoT 推進人材の育成カリキュラムの確立を実施する. 【端末構築】については,昨年度開発を行ったArduinoをベースとした端末以外に,LEGO MINDSTORM VE3を端末として利用する手法の開発を実施した.特殊な機材を必要としないことが大きな長所となる,この一般の小売店でも市販されているEV3を利用し,さらに開発言語としてEV3ソフトウェアと呼ばれるビジュアルプログラミングツールを用いることで,IoT推進におけるハードルを下げることが可能となった.さらに,専用のステートマシン図をベースとするビジュアルプログラミングツールの開発も行い,その基本設計を完成させた. 【データ解析】については,生産設備から生成される膨大な量のデータ処理について試験的にAIを用いた手法を適用した.時系列データ処理において稼働率や故障予測が行えることを確認し,Pythonベースでのパッケージ化を行った. これら【端末構築】と【データ解析】に関する成果を基に,教育カリキュラムに関する検討も実施し,端末開発においてはプログラミング教室において,センサーとそのデータ処理について簡単な事例の実践を行った.また,データ解析については,企業の設備データ解析をとおして企業の現場技術者との連携を行い,必要とされる学習項目についての知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【端末構築】課題に関しては,昨年度に開発を完了したArduinoをベースとした端末に加え,特に中学生などを対象としたカリキュラム用として,LEGO MINDSTORM EV3を利用した端末の利用方法を確立した.さらに,プログラミングツールとしてステートマシン図をベースとした新たなソフトウェアの開発も行い,基本設計を完成させることができた. 【データ解析】課題に関しては,教育カリキュラムの適用対象の一つである製造業における生産設備の稼働データを基に,時系列データ処理を適用することで稼働率・故障予測についての試験的なアプリケーション開発を実施した.これらの結果をどのように利用したいのかなど現場レベルでの意見集約も合わせて実施し,基礎的なカリキュラム策定に向けた知見の集積を完了した. 今年度は,LEGO MINDSTORM EV3を利用した自律走行体の センサでセータを収集しこれを解析して自律的に行動するシステムの講習会昨年度に続き実施した.この講習会は小学生を対象として実施し,端末におけるプログラミング教育について問題点を明らかにすることができた.特に組み込みシステムにおけるプログラミング要素が,初学者に対して与える影響が大きいことを突き止め,開発中の端末用プログラミングツールの設計思想に反映させた.
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今後の研究の推進方策 |
【端末構築】に関しては,EV3用のビジュアルプログラミングツールについて,設計をベースとして実装を行う.さらに,IoT端末を作成する際に必要となるキーワードの抽出を行い,ステートマシン図による動作の表現において必要不可欠である「DSL:Domein Specific Language」のデータベース整備を進める. 【データ解析】に関しては,確立したAIによる生産設備の稼働率・故障予測の手法のパッケージ化を進め,IoTのデータ解析におけるツールとして簡単に利用可能なパッケージとしての提供を目指す.また,このパッケージをベースとしたディープラーニングによるデータ解析システムの構築を実習するための教材の開発を実施する. これらと合わせて,授業適用及び評価の準備を進める.特に一昨年の調査によりAIに関する部分の必要性が強調されているため,デュープラーニングを中心としたシステム開発に重点を置いたカリキュラム開発を行う.さらに,長野県工科短期大学校の授業及び上田市の市民講座などで,この教材を用いた実習を試験的に導入し,評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行により,参加を予定していた学会及び研究会などがすべて中止あるいはWebミーティングによる開催へと変更になり,旅費の執行をができなかった.このため,次年度使用額が発生している.感染症の状況によるが,次年度請求の旅費と合算し中止・延期になった学会への参加のために使用する予定である.
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