研究課題/領域番号 |
18K02859
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
益子 典文 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10219321)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師教育 / 若手教師 / 経験学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,若手教師の経験学習能力形成モデルを構築し,そのモデルに基づく経験学習促進プログラムを開発することである。 研究3年目である令和2年度は,初任教師が教職1年目のどのような経験が成長へつながるかについて2つの研究を遂行した。第一に平成30年度に教育委員会事務局の協力を得て,初任者研修受講者を対象として実施した,経験学習に関する調査の分析を進めた。小学校173名(うち講師経験なし71名,講師経験あり91名),中学校138名(うち講師経験なし71名,講師経験あり55名)を対象として,新任年度末の経験学習の状態を,松尾(2011)のモデルに沿って,ストレッチ・リフレクション・エンジョイメントの状態(例えば「挑戦的な課題に取り組もうとしている」)の回答を求める3項目,学校での自らを取り巻く環境の状態(例えば,同僚感(「声をかけてもらえる」と感じることが多い)など4項目,計7つの項目に各々6件法で回答を求めたデータである。分析の結果,経験学習の状態は,小学校・中学校いずれも講師経験あり・なし群間に差は認められず,概ね高い水準に達していることが示された。また,ストレッチ・リフレクション・エンジョイメントの3つの経験から学ぶ力の間では,小学校・中学校ともにストレッチが有意に低いことが示された。このような状態となるに至る1年間の経験については,引き続き調査を進める必要がある。 第二に,効果的な研修プログラムの設計の基礎研究として,2名の管理職が校内でどのように初任者の育成を図っているかについて,インタビュー調査を実施した。その結果,(1)初任者研究の枠組みを生かす,(2)職員間のつながりを生み出す,(3)研究授業や行事・校務分掌を活用する,という共通点が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究3年目はデータ分析については一定の成果が得られている。 一方,分析結果のとりまとめ・報告,および効果的な研修プログラムの検討・検証は,新型コロナウィルスの影響により,研究打合せや管理職や初任者を対象としたインタビュー調査の計画に変更が必要となり,遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目は最終年度であったが,補助事業機関の延長申請が認められたため,令和3年度に遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度である令和2年度は,新型コロナウィルスの影響により研究成果のとりまとめおよびインタビュー調査に関する研究計画の変更が必要となり,事業期間の延長申請が認められたため。
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