研究課題
本研究の目的は,学生の学習行動の履歴である学習ログの分析結果に基づいて,学習に対する効果的なフィードバック方法を開発し,その効果を行動データと脳活動測定とによって検証することにある。この目的を達成するために,本年度は以下を実施した。研究の対象として,現在の大学における情報通信技術(ICT: Information and Communication Technology)教育において,重要な地位を占めるMOOC(Massive Open Online Course)講座を受講した際の学習を想定し検討した。MOOC講座では,オンラインで配信される講義動画を各学生が視聴し,学習を進めるのが基本となる。そこで本研究では,フィードバックが学習においてどのような促進効果を示すのかを検証する基礎段階として,受講時の動画を観察しての学習を再現し,その際の認知的側面と脳活動を検証することとした。具体的には,大学生および大学院生を対象として,「動画を観察しながら理解する状態」と「理解内容を伝える状態」を実験的に再現し,その際の行動データおよび脳活動データを測定する実験を実施した。脳活動データはNIRS(近赤外分光法: Near-Infrared Spectroscopy)を利用して計測した。現在,行動データと脳活動データを分析中であり,これらの結果に基づき,学習へのフィードバックに関する実験を実施する予定である。
4: 遅れている
実験において取得した行動データの分析は順調に進んでいる。しかし,NIRS機器が故障し,その修理はすでに手配済みであるが,脳活動データの分析が滞っている。また,本研究では,実験実施において,密室での対人環境を必須とするが,COVID-19(新型コロナウィルス)の流行により,2020年2月以降の実験実施が事実上不可能となっており,進捗の大きな障害となっている。
今後は,脳活動データの分析もすすめ,効果的なフィードバックの検証段階に進む予定である。
NIRS装置の故障により,脳活動データ分析の進捗が滞ったことによる人件費等の発生がなく,また2月からCOVID-19(新型コロナウィルス)の影響で,実験準備と実施に関する費用(物品費,出張費,人件費)の発生がなくなったため。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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