研究課題/領域番号 |
18K02870
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大西 建輔 東海大学, 理学部, 准教授 (00303024)
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研究分担者 |
北林 照幸 東海大学, 理学部, 教授 (40408000)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヴァーチャルリアリティ / 教材 / 斜方投射 |
研究実績の概要 |
本年度は, 高等学校の物理で用いるヴァーチャルリアリティ斜方投射アプリを用いた実践をおこない, 研究会での報告をおこなった. 神奈川県立柏陽高等学校, 及び東海大学付属高輪台高等学校の 3クラスを対象に, 作成VRアプリを用いた実践授業をおこなった. 実践授業のあと, ユーザ(高校生)によるアプリの評価をおこなった. アプリが楽しかったと回答した生徒は 97%(120人中117人)であり, 放物運動に興味をもった生徒は 87%(120中104人)であった. このことから, 作成VRアプリを用いることで, 生徒の興味・関心を引き出すことがわかった. また, 3クラスの評価値の間には大きな差は無く, 多様な生徒に対し, 同じような効果を及ぼしていることもわかった. 以上をまとめ, 情報処理学会, コンピュータと教育研究会において発表をおこなった. 作成VRアプリは, 2020年現在, Google Playにて公開されている. また, 説明のためのウェブページを作成し, 広報に勤めている. さらに, ワイヤレスとIoTの展示会であるワイアレスジャパン2019において, "VRアプリで学ぶ物理学"と題目の講演をおこない, 会場で作成VRアプリの展示をおこなった. 来場者は生徒の親世代がほとんどであり, 新しい時代の教育として, 様々な意見をいただいた. また, 実践授業をおこなった高等学校の教員や VR教材を研究している大学教員との議論をおこない, 今後の研究方針を定める手助けとなった. 来年度以降も議論を続けていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は, ヴァーチャルリアリティ斜方投射アプリについての研究を中心におこなった. 作成VRアプリを公開し, 実践授業, 評価とおこない, VRアプリを教材として用いることの利点/欠点などが整理できてきた. 利点としては, 研究概要で述べた生徒の興味関心を火出すことができると言う点をあげることができる. 欠点としては, (1) 長時間の使用が難しいこと, (2) 教員が生徒を指導するために教材への理解が必要なこと, (3) 入力方法を考える必要があることがあげられる. 現在, (1)に関しては生理的な問題もあるため, 無理をせず複数人で一つの端末を使うことで, 回避できる. (2)に関しては研修などをおこなうと共に, 理解しやすいアプリの作成も必要となる. (3)の入力に関しては, 解決に向けての議論が必要である. 現在のアプリは, 音量入力ボタンを利用し操作をおこなっている. しかし, 端末により音量入力ボタンの場所が違うことで, ユーザが困ることがある. また, 入力の待ち時間が発生し, 操作が進まないこともある. 今後, 計画書にも記載した音声入力の手法についても実装をおこない, 評価実験をおこなう. 音声入力が難しい場面もあるため, それ以外の手法でも入力ができるようにする予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は, 次の2点について研究をおこなっていく. (1) 音声入力もできる2次元関数描画VRアプリの開発と評価, (2) WebVRを用いたVRアプリの開発と評価. (1)は2018年度におこなった2次元関数描画VRプログラム(HTC Viveで動作)をスマートフォン向けアプリとして, 再作成するものである. ここまでの研究で得た知見を元に作成し, 評価実験をおこなう予定である. なるべく端末自身で動作し, サーバなどを必要としないアプリとする予定である. (2)は様々な端末への対応である. 教材としてのアプリを作成する場合, 生徒自身の端末を用いて何度も操作をおこない, 理解を深めることが望ましい. これまで開発してきたアプリは, Android端末向けアプリであり, iPhone向けアプリはない. 生徒の多くが iPhoneを保持しているため, 対応をする必要がある. これまで, スマートフォン向けVRアプリは, Android端末向けと iPhone向けがあったが, 近年ブラウザベースのプラットフォーム WebVRが出てきた. このプラットフォーム上でのアプリを作成し, できるだけ多くのスマートフォンで動作するアプリを作成し, 評価する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの蔓延により, 年度末に予定していた学会参加がなくなった. そのため, 次年度使用額が生じた. 本年度, 成果発表などで利用する予定である.
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