前年度までは、例えばLINEグループで返信をせずに送信者を待たせている状況において、待たせる側にネガティブ感情の生じる要因として、LINEへの依存度を3側面に分け、どの側面がネガティブ感情の発生に関係しているのかを分析した。その結果、感情の生じやすさの特性やコミュニケーションの維持に関する側面は感情の発生に関係していたが、LINEの過剰な使用の側面はほとんど関係していなかった。また、グループのメンバーが返信を待たせる側と待つ側の双方の立場に置かれているときに、それぞれの立場においてメンバーのネガティブ感情の発生の有無によるメンバーのLINEに登録されている「友だち」および「グループ」の数の差を比較した。その結果、設定した多くの状況で、ネガティブ感情が発生する人のほうが発生しない人よりも「友だち」及び「グループ」の数が多かった。続いて、上述の結果を踏まえてネガティブ感情が発生する人に注目し、ネガティブ感情の発生のタイミングと「友だち」及び「グループ」の数との関係を分析した。その結果、主に既読状態で返信を待つ状況においてネガティブ感情の発生までの時間の長さと「友だち」及び「グループ」の数に正の相関がいくつか認められた。令和4年度は、LINEグループにおいて返信を待つ側に着目して、状態要因×グループ要因(友人など)×人物要因(特定の対象であるか)による複数のネガティブ感情の発生の違いを調査した。また、同じ要因を用いて、返信を待たせている側にも着目した。更に、グループの場合と個人間のやり取りでの違いを明らかにするために、個人間のやり取りについても同様に調査を行った。主な結果としては、LINEグループにおいては、返信を待つ場合も待たせる場合も、グループの中に特定の対象者がおり、その人に関係するかそれ以外の人に関係するかによって、ネガティブ感情の発生に違いがあることが明らかになった。
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