本研究の目的は、音読の効果を語彙力、文法力、読解力、読解速度および脳活性状態から明らかにすることであった。従来の外国語教授法についての理論的枠組みは、学習者およびその指導者である観察者の主観的な認知的経験則から提唱されたもので、客観性に乏しいと指摘されてきた。また、音読については、脳科学からの研究が既に進みつつある。本研究は、従来の知見に加え、音読学習前後の学習者の脳活性状態を光トポグラフィで観測し黙読学習後と比較し、音読学習の効果を検証した。本結果は、学習者、指導者の認知的、経験的観測に加え、脳科学的データで客観的に観測することができ、音読学習のメカニズムを多面的に議論する点で独創的である。
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