研究課題/領域番号 |
18K02875
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
森田 健宏 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (30309017)
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研究分担者 |
浦嶋 敏之 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (30806534)
松河 秀哉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (50379111)
堀田 博史 園田学園女子大学, 人間健康学部, 教授 (60300349)
佐藤 朝美 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (70568724)
黒田 秀子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 准教授 (20706931)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 保育者の業務支援 / 園務情報化 / 園務支援システム / 情報利用スキル / 情報利用の熟達化 |
研究実績の概要 |
本年度においてもコロナ禍の影響が続く中、「新任保育者の基本的情報処理能力の現状とその熟達化に向けた課題の検討」の調査研究の遂行が可能であったため、日本教育工学会で研究発表を行った。 新任保育職100名を対象とした調査分析の結果、まず、保育業務に関するPC利用率は76%、タブレット端末利用率は30%であった。PCの利用率は比較的高いものの、保育中でも可搬利用が想定されるタブレット端末については十分な普及に至っていない。次に、園務利用に比較的多いと考えられるOffice系ソフトの利用について調査を行ったところ、92%が利用できていると思うと回答しているが、そのうち、利用しながらも苦手意識を有する保育者が35%確認された。この点については、その起因を保育者養成機関を対象とした調査系グループの結果等を見てさらに検討を重ねる。さらに、Office系ソフトの園務利用に関して、今後の職務における熟達化やその支援の必要性について検討するため、Bruerの熟達モデルに基づき「領域固有知識」「メタ認知」「一般的方略」についての質問項目を作成し、その回答について検討した。その結果、「領域固有領域」についての質問では、新任保育者の68%が「熟知している」旨の回答であった。また、「メタ認知」についての質問では、「意識できている」旨の回答は42%であった。さらに、「一般的方略」についての質問では、51%が「想定できる」旨の回答となっていた。以上の結果から、現代の新任保育者については、Society5.0時代を迎えようとしている中、園務の情報利用に対して、熟達志向を持って適応的に臨もうとしている者が約半数程度であることがOffice系ソフトの利用調査ながら伺えた。今後、園務の情報機器利用の質的向上、実質化に導いていくためには、新任保育者の情報利用への熟達化を支援していくことが重要になっていくと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記の判断とした理由は、ひとえに、新型コロナウイルスの蔓延が予測不可能であり、本年度においても研究協力者及び機関からの協力が得がたい実情であったためである。しかし、本年度においても各研究者は可能な研究活動をそれぞれに行ってきている。その結果として、本年度においても日本教育工学会にて研究発表を行っている。また、引き続き、状況の変化に応じて分担研究者と共に遂行可能な内容については検討を進めている。さらに、一昨年の実施状況報告書にも記しているとおり、本研究課題の申請時以降、国による幼稚園等へのICT化補助金制度の拡充により、園務支援システムやソフトウェアの開発メーカーが急増し、様々な機能増加が競争的に見られていることもある。これを受けて、一昨年来、本研究課題の本旨に基づき、有用性の提言や実質化への課題検討のあり方について再検討し、一部機能に関するプロトタイプ研究のみならず、園務支援システム利用に対応しがたい対象や内容を詳細に見出してその実情を質的・量的調査の両側面から明らかにしていくことを主眼とすることの方が、成果の社会還元において有益であると判断した。そこで、研究期間延長の申請を行ったことに合わせ、調査研究を追加することによって、さらに充実した研究成果としてまとめあげることを企図している。
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今後の研究の推進方策 |
前述の項目に記しているとおり、現在、研究分担者が実施可能な研究内容について、調査系研究2グループ、開発系研究1グループにそれぞれ着手してもらっており、特に、調査系研究グループは全ての既にローデータの回収を終了し、分析を開始している。これまでのヒアリング調査によって俯瞰的にモデル図化した「保育者のキャリアを基軸とした園務情報化の課題」に基づき、(1)保育者養成校学生に想定しうる課題、(2)ミドルレベルの保育者から保育活動や業務の充実や効率化として発想される課題、(3)管理職レベルとして園の運営に関わる問題についての園務情報支援システムから得られるデータの活用可能性と課題ついて、成果発表できるものから順次、成果公開を行っていく予定である。また、 開発系研究グループの「保育活動のドキュメンテーションの効率化及び確実化を目的とした小型端末試用による調査研究」についてのプログラムも完成しており、現在、コロナウイルスの終息期を待機して、遂行できる状態にある。なお、開発系研究の効果検証については、幼稚園等でのフィールドワークとなるため、コロナウイルスの蔓延状況によって研究協力が可能となるかの判断が難しいため、時限を見て状況によっては、シミュレーション方式の研究に変更することも想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、コロナ禍によって遂行が困難な研究の開始が遅延していたためである。次年度については、遅延している研究を遂行し続けるための費用として必要な残額を使用し、また、研究成果発表についての必要経費に充てること等を予定している。なお、開発系研究の効果検証については、幼稚園等でのフィールドワークとなるため、コロナウイルスの蔓延状況によって研究協力が可能となるかの判断が難しいため、時限を見て状況によっては、シミュレーション方式の研究に変更し、その費用に振り替えることも想定している。
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