研究課題/領域番号 |
18K02878
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
小無 啓司 大手前大学, 現代社会学部, 非常勤講師 (20161953)
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研究分担者 |
久米 健次 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (10107344)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 理科教育 / 理解度計測 / 拡張現実 / 多変量解析 / 特異スペクトル解析 / AR / 表情認証システム |
研究実績の概要 |
本研究では、理科教育にAR(拡張現実)を導入し、受講生の理解度をreal timeで計測・分析するInteractive AR教育システムの開発を目指している。 受講生のreal timeデータを分析する手法として、多変量のSSA法(特異スペクトル解析法)の適用を考えている。先行研究として平成30年に論文を発表した。SSA法では時間的に変化する複数のモードを分解するが、従来の方法では分解したデータ列に類似成分が出てくる冗長性があり、これがSSA法をreal time処理に用いづらい原因となっていた。この困難を解消するため、新たなアルゴリズムとして直交した分解列を生成する「直交SSA法」を開発した。 平成30年度は、3DCGを含んだ教科書を、校正者からの指摘の元に全面的に書き直し、QRコード埋め込み版を作成した。3DCGはYouTubeチャンネルでも見られるようにした。令和元年度はさらに教科書の改良を進め、3DCGも再作成しYouTubeチャンネルの動画も再uploadした。 これらにより学生の理解度が上昇したのでその成果を学会発表した。3DCGをAR化したものは再作成し、強制振動での共鳴現象を再現した、Android用とiOS用の携帯端末用を仕上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、改良版の教科書をインターネットで配布し、この教科書を用いた講義における学生の成績と、以前の講義の成績を比較し96%の棄却域で成績の平均点は上昇したと結論づけた。この成果は科研費課題番号:18KO2878による研究発表として日本物理学会第75回年次大会(名古屋大学)において発表した。新型コロナウィルスの影響により学会の現地開催は中止になったが「講演資料サイト原稿Web閲覧」より講演のプレゼンテーションが閲覧できる。 さらに、学生の理解度の変化を捕まえるために動画を解析して、長時間の動画から表情の変化を切り出すことに成功した。 同様の手法で、この教科書を用いて上述した範囲とは異なった範囲の講義を行いデータを集めた。データの解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、令和元年後期に実施した我々の講義の効果に関する研究成果を発表する予定である。 本来は表情の変化から学生の理解度を数値化し、その時間変化を関数にする予定であったが、新型コロナウィルスの影響で現在作業が3ヶ月ほど滞っている。 3DCGは学生アンケートの意見をフィードバックさせることで、さらに改善を進めている。AR部分も学生の意見をフィードバックさせて全面的に再作成しAndroid版とiOS版を作成した。Android版はGoogle Playに掲載されている。iOS版は機能チェックが終了し掲載を待っている。今年度はCoriolis力の理解を深めるARを改善し学生の理解度をさらに向上させる. 令和元年の講義内容をさらに改善し、講義の理解がさらに進むかどうかの検証を行う予定であり、新年度の講義開始を待っているが、新型コロナウィルスの影響で対面講義が遠隔講義に置き換えられると同時に講義開始時期も遅延しており、検証作業の大幅な遅延が余儀なくされる可能性が高い。
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次年度使用額が生じた理由 |
表情認証システムを用いて、理解度を数値化する予定通り、表情の変化を静止画(約1万枚)として分類した。 この静止画を数値化しそのデータを産み出す元となる関数を求める予定である。 しかし、静止画から数値化データを読み取る作業の依頼先が新型コロナウィルスの影響で仕事が停止してしまった。その再開を待っている状態で静止画読み取り作業が止まっている。そのため支出が少なくなっている。 今年度は新型ウィルス対策に気を配りながら開始したいと考えている。その他の部分はほぼ予定通り進行しているので、この部分以外の使用計画は変更がない。
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