研究実績の概要 |
本研究は、ラーニング・アナリティクス、性格特性、教学IRデータを活用し、GPAと学校生活満足度を予測するモデルを開発した。開発手法として、クラスター分析、線形重回帰及びニューラルネットワークを採用した。その結果、線形重回帰モデルの予測率は、(GPA,学校生活満足度)=(0.28,0.31)、ニューラルネットワークモデルの予測率は、(GPA,学校生活満足度)=(0.83,0.48)となった。一方、当初の最終年度では、学生の質的記録をテキストマイニングし、それらの結果から予測精度を向上させる仕組みを開発する予定であった。しかし、新型コロナの影響により、モデル投入する平常時データの入手が困難となった。そのため、最終年度では計画変更を余儀なくされ、学生の質的記録に端を発した「対AI信頼感尺度」と「心理的AIデバイドをアセスメントするテストバッテリーの尺度開発」を行った。その理由として、AI予測を就職活動支援に活用することに積極的な学生と消極的な学生が存在したためである。この結果は「AI予測を活用すること自体に別要因が存在する可能性」を示唆するという新たな仮説を生んだ。その影響を考慮しないとモデル向上は十分に図れないと考えられた。 よって、最終年度に行った研究成果を以下に挙げる。 1.Web調査により、対AI信頼感尺度を作成した。妥当性の検討は、対人信頼感尺度とTIPI-Jを用いた。さらに、当該尺度を用い、性別・年代別のコホート分析を行った結果、対AI信頼感について、性別・年代別に違いがみられた。 2.Web調査により、心理的AIデバイドをアセスメントするテストバッテリーを作成した。テストバッテリーは、対AI信頼感尺度と最新電子機器使用態度尺度とした。さらに、このテストバッテリーを用いて、性別・年代別のコホート分析を行った結果、年代別の心理的AIデバイドの実態を把握できた。
|