研究課題/領域番号 |
18K02886
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研究機関 | 大阪府立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
和田 健 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00469587)
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研究分担者 |
早川 潔 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20325575)
谷野 圭亮 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (70778589)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラーニングアナリティクス / 答案分析 / データ分析前処理 / 教育工学 |
研究実績の概要 |
本研究は、中等・高等教育機関で実施される記述式の筆記試験答案をデータソース(教育ビッグデータ)として、ラーニングアナリティクスの観点からデータ分析を行なうに必要な「前処理プロセス」について明らかにすることを目的としている。また、その前処理プロセスを効率化・省力化するための方法・技術について検討し、それを実装した実用的な支援システムの開発も目的としている。 2019年度の研究では、研究代表者と分担者が担当している科目で実施した定期試験の実答案を使って分析のケーススタディを行なった。この答案分析には、2018年度に本研究で開発した一括トリミングツール(スキャンした答案画像を読込み、そこから解答欄領域を指定して一括トリミングして出力する機能を提供)を活用した。そして、その分析シナリオやフローについて共有・情報交換して、主に労力対効果の面から評価した。この結果、設問ごとの誤答率が重要な指標であり、誤答率の高い問題に絞り込んで、誤答パターンの分類や割合について分析を深めることが、労力対効果の面で有効であるという結論を得た。この知見に基づき、前処理支援システムの開発においては、誤答パターンの分析を支援するためのツールの設計と開発を進めた。具体的には、解答欄単位に分離された画像(つまり各学習者の解答)に対して「正答」「誤答」「部分点」「計算ミス」「説明不足」のような任意の属性情報(タグ)を付与し、その情報を、表計算や統計解析ソフトで取扱い可能な構造化データ(CSV/JSON)として出力する機能を持ったツールを実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の研究実施計画どおり、研究代表者と分担者で定期試験の実答案を使用してラーニングアナリティクスの観点から答案分析を実施し、それを通して、労力対効果の高い分析フロー、分析シナリオについての知見を集めることができた。そして、このプロセスにおいて、前年度に開発した支援ツールが分析作業に有用であることも実証できた。前処理プロセスの効率化・省力化 を目的とした支援ソフトウェアの開発については、新たに誤答パターンの分析を目的としたツールの設計開発を行ない、その機能評価・性能評価ができる段階に至っている。以上のことから、本研究の進捗状況として概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、研究実施計画にあるように複数の試験(中間試験と期末試験など)の答案を通した総合的な分析シナリオを設定した前処理とデータ分析について研究を進める。また、これまでの知見をまとめた前処理のガイドラインと支援システムについて学内を中心に範囲を限定して公開する。システム開発では、本年度に実装した誤答パターンについての分析を支援するツールの機能評価・性能評価を行なうとともに、その出力データを整理・統合・管理するためのツールについても開発を進める。また、ディープラーニングによる画像分類を利用した記号解答の読み取りや、採点マークの読み取りやなどの画像処理を中心とした機能の開発も行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により、参加予定していた学会への出張が不可能となり、想定していた旅費や登壇料の支出がなくなった。次年度に国内学会、国際会議の旅費として使用する予定である。また、システム開発やデータ分析の資料として書籍等の物品を購入予定であったが、必要なものを厳選した結果、交付申請時の想定よりも支出が少なくなった。これらは次年度以降の物品購入にあてる。
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