研究課題/領域番号 |
18K02888
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
椎名 久美子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20280539)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非教科型テスト / 空間テスト / 安定性 |
研究実績の概要 |
本研究では,解答データの分析に基づいて良質な非教科型テストの特徴を整理して,安定した品質の問題項目の継続的な作成に生かすための検討を行っている.また,非教科型テストの特徴の安定性を検討するために,一定の属性を持つ受検者集団に着目した解答データの収集を継続的に行っている.非教科型テストで測定される能力と大学で履修する科目の成績との関係についても,定点観測的に分析を続けている. 非教科型テストの一例として,立体の断面形状に関する多肢選択式テストに着目して,属性が同じ集団で複数年度にわたって収集した解答データを分析したところ,同一の大学の理工系学部において,1年生後期に3D-CAD/CGソフトによる実習を履修する直前の学生に実施した空間テスト得点の平均点が,長期間にわたって安定して高いことが確認された.安定性の高いことが確認された空間テストを,2年生前期に図法幾何学を選択して履修しようとする直前の学生に対して実施したところ,理工系の学生集団の中でも比較的空間認識力の高い学生が図法幾何学を選択する傾向が示唆された. 以上の分析結果をまとめたExtended abstractが,第19回図学国際会議(The 19th International Conference on Geometry and Graphics, ICGG 2020)でレビューを受けて採択され,Full paper執筆の準備を進めている.当初は2020年8月にブラジルで開催される予定であったが,COVID-19の影響で2021年1月に非対面で開催されることになり,発表内容の動画も作成予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
収集した解答データを整理する際に,再履修などの理由で複数回受検した受検者を特定して2回目の解答データを除去した後で匿名化したり,大学の履修科目の成績と対応させた後でデータを匿名化したりする作業に時間がかかった.
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今後の研究の推進方策 |
非教科型の空間テストの安定性に関しては,第19回図学国際会議のFull paperを執筆してまとめると共に,非対面開催に向けた発表内容の動画を作成する.また,解答データの分析結果をもとに専門家と意見交換を行い,良質な問題項目の特徴について検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析に用いるパソコンやソフトを購入せずに既存のものを活用したため,次年度使用額が生じた.次年度使用額については,データ分析に用いるソフトウエアを更新すると共に,第19回図学国際会議の参加登録料や論文執筆の英文校閲料にあてる予定である.
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