研究課題/領域番号 |
18K02889
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武田 浩太郎 東北大学, 工学研究科, 講師 (80727214)
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研究分担者 |
池ノ上 芳章 東北大学, 工学研究科, 特任教授 (30790993)
祇園 景子 神戸大学, バリュースクール, 准教授 (70533404)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学生発明 / 発明者の権利付与 / 指導教官 / 特許出願経験 / 指導教官のキャリア |
研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究は、「学生に対する発明者としての権利付与」の方針と当該研究室指導教官のキャリアの関係についての調査分析である。指導教官が学生に発明者としての権利を付与することの方針やその根拠に多様性があることの一因として、当該教員の特許出願経験の有無が関係しているのではないかと仮設を立て、国内の大学機関の指導教員100名を対象にアンケート調査を実施した。質問票は、特許出願経験、学生への権利付与の方針およびその根拠等に関する10項目で構成され、回答は選択式または自由記入形式とした。
「指導学生の研究テーマ等で成果が出た場合に、当該学生に発明者の権利を付与する場合の方針」への回答を傾向別分類したところ、34名は権利付与に肯定的、2名は否定的、24名は回答不能(発明を伴わない研究分野である等)、40名はその他(分からない、規定が存在しない等)であった。権利付与に肯定的な理由として、「学生は対等な立場で研究開発するパートナー」「発明は学生自身の力によるものであり、教員指導の結果ではない」等があった。権利付与に否定的な理由として、「学生は教員が与えたテーマを実践したに過ぎない」「何年にも渡る研究テーマが多いため」等があった。
権利付与に肯定的であった34名中16名は所属大学または過去に民間企業で特許出願の経験があった。発明を伴う研究分野の指導教員は学生の権利付与に概ね肯定的であり、教員自身の特許出願経験が学生の権利保護に対する理解の一助となっている可能性がある。学生が発明に寄与したとする判断基準については、「当該学生が実験実施者であること」「アイデア創出段階で関与すること」等、回答者間で差がみられた。権利の持分比率は「寄与度に応じて20~80%」「学生と指導教員で等分」等の意見もあり、個々の発明における学生の寄与度や権利の持分比率の決定方法が十分に整備されていない実情が示唆された。
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