研究課題/領域番号 |
18K02890
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡林 浩嗣 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 講師 (70333309)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 研究倫理 / 研究公正 / 学部生教育 / 教育カリキュラム / 教養教育 / 技術者倫理 |
研究実績の概要 |
3年目である2020年度は、既存の研究倫理関連教材・カリキュラムについて、従来の研究倫理に特化した内容から技術者倫理の分野へ一部視点を広げ、技術者教育では専門家としてのふるまいや他者との関係性に関する視点をどの様に取り込んでいるかに着目し、分析を継続した。これらの内容を取り纏め、既存の研究倫理教育の構造分析に関する論文執筆を行った。また、今年度も技術者倫理教育の専門家会合へ参加し、特に倫理教育の点で福利(Well-being)の概念を教育手法へ導入する試みに関する議論に継続的に参加した。これと併行して、前年度である2019年8月の第6回科学者倫理研究会および2019年12月の第42回日本分子生物学会年会の研究倫理セッションでの発表後のディスカッションや、技術者倫理教育における実践例をふまえ、研究者を対象とするアンケート調査項目を追加修正した。また、前年度末には、研究者に対する聞き取りの項目として心理的側面に関する設問を追加し、感覚的・印象的な側面に関する分析が可能なデータが取得出来るように計画を変更していたが、2020年度の新型コロナ対策による移動自粛の要請が想定より広範囲かつ長期間であったこともあり、アンケートとの組み合わせにより実施する予定だったヒアリング調査の開始が大幅に遅れた。特に、対面ヒアリングをzoom等による遠隔での聞き取りに変更する場合には、記録データの保存方法等に関する倫理審査を行う必要があるとの指摘があった為、倫理審査を行った上で遠隔ヒアリングを行う形に計画を修正した。これに伴い、研究期間を1年延長することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度末から2020年度にかけて発生した新型コロナウイルス対策による移動制限による影響と、アンケートと組み合わせて行う為の対面ヒアリングの手法変更に伴う倫理審査実施等の理由により、研究は大幅に遅れて進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究者に対する遠隔会議ツール等を利用したヒアリング調査を、再修正したアンケート調査と組み合わせて2021年度の前半に行い、その分析から研究者らの研究公正教育に関する認識と要望を調査し、既にこれまでに分析している既存研究倫理教育・技術者倫理教育の構造と比較する。さらに、学生指導において中心的な立場にある研究者のニーズをふまえ、研究公正に関する健全な意識を教養教育科目・学生実習等と一体的に伝達し得るカリキュラム案の作成を行い、成果として報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの計画変更により、対面ヒアリングによる聞き取り調査との組み合わせを前提とし、アンケート調査項目を変更した上で調査を行う予定だったが、新型コロナウイルスによる移動制限等により予定した時期に実施出来なかったことに加え、対面ヒアリングをWeb会議形式で行う場合の聞き取りデータの保存について倫理審査が必要になり、次年度に研究期間を1年延長させて頂くこととなった。これらの予算は海外文献を含む追加資料の購入やアンケート調査および研究者への対面調査の実施費用、成果報告に係る支出として2021年度に使用する計画である。
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