2023年度は本研究の最終年度として、昨年度から実施した近年の研究倫理関連教材・カリキュラムのアップデート(教科書、e-ラーニングツール)に加え、関連する書籍に対象を広げた情報収集を行い、分析を継続すると共に論文執筆を継続した。昨年度から教育工学分野の外部研究者に意見を求めた結果を踏まえ、総説論文と原著論文に分離する形での原稿執筆と修正を継続的に実施した。また今年度は関連分野(研究公正以外の技術者倫理・教育学・倫理学関連分野)の学術論文を参考に広く検討し、原著論文として記載すべき内容と議論の焦点を絞る為に、原著論文の構成についても、教材の分析に関する論文とカリキュラムの提案に関する論文に分けて論ずることとし、改めて論文構成の修正・検討を行った。また、現在執筆中の論文へ、研究者の自己認識についての分析内容を追加する可能性がある為、研究公正に関するアンケート調査項目の修正を行い、修正後の項目に基づいて複数の研究者へ対面での事前ヒアリングを行った(第45回日本分子生物学会年会での調査を含む)。加えて、研究公正教育に関する経験豊富な研究者を対象として、過去数年の変化を踏まえた「現在の研究倫理教育・研修カリキュラムに不足している要素」についての意見聴取を行った。さらにアンケート調査をwebで実施する上で、対象者の範囲を拡大し、要素として調査対象者の自己認識に関わる設問を追加する為、学内倫理審査に向けた準備を実施した。その他、今年度に別事業により行われた研究公正に関するヒヤリ・ハット集の改訂において、各種事例の確認と教材化を監修者として実施するにあたり、これまでの調査・分析の知見を活用することができた。また、研究公正に関わる国際学会であるAPRI2023 TOKYOの準備委員と学会への参加により、当該分野の議論の傾向について最新の情報を得ることができた。
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