研究課題/領域番号 |
18K02903
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
宇野 健 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (20305783)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プログラミング演習システム / オンライン演習 / リアルタイム学習状況把握 |
研究実績の概要 |
本研究は,C言語プログラミング学習支援システムの開発,学習状況の評価のためのフィードバックシステムの開発,授業におけるプログラミング演習状況可視化システムの開発,学習データを用いた成績不振兆候者検出の試み,の4段階からなる. 令和2年度は,これまで開発してきたプログラミング演習システムを,C言語だけでなく,JavaScriptにも対応させ,実際の授業で運用した.また,COIVD19による授業のオンライン化に伴い,その対応を開発の軸とした. オンライン授業での演習では,対面式授業での演習と同様に,リアルタイムで演習状況を把握する必要がある.そのため,演習の際に蓄積される各種ログデータをリアルタイムに集計し,教員用画面に個々の演習状況を表示するシステムの開発を行った.当初は利用者がデータ保存を行わないと,データの更新が行われなかったが,Ajaxの非同期通信を用い,10秒間隔で学生の編集画面の状況を取得するようにした.また,学生のソースコード画面を1~16まで同時表示することを可能とした. 開発したシステムを,実際のプログラミングの授業(完全オンライン・受講生42名)の演習で運用を行い,有効性の検証を行った.授業はJavaScriptを用い,Web上で提示したサンプルプログラムの実行や,応用問題として,自分でソースプログラムを作成するなどの演習を行った.6回にわたって運用を行った結果,実装した機能に関しては問題なく動作し,リアルタイムで学生の演習状況を把握することが可能となり,対面式と変わらない演習指導ができた.むしろ,対面式では,わからないところがあっても手を上げない学生が一定数いるが,今回のシステムを用いることによって,教員側から積極的に介入できることが分かり,今回開発したシステムがオンラインに限らず,演習授業で有効であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス流行のため,授業がオンライン化されてしまったため,システムのオンライン授業への対応と,他の授業でのオンライン対応に多くの時間が必要となり,当該年度の研究計画の一部変更を余儀なくされた.ただし,元々予定していた”授業におけるプログラミング演習状況の可視化システムの開発”や,JavaScript言語への対応などについては,ほぼ予定通り開発・実装ができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,当初の予定通り,これまで開発してきたC言語およびJavaScript学支システムで収集した定量的な学習データを用いて,試験成績を推定することによって成績不振兆候者の検出を試みる.各年度の授業期間全体の学習データの各項目に対して重回帰分析を行い,試験偏差値を推定する.一般的なチェックシートを用いて授業のドロップアウト兆候者の抽出を行う手法とは異なり,推定した結果が偏差値であるため,成績不振兆候者の判定を行うためのしきい値を任意に設定を可能とする.予定としては,以下の4つの手順で成績不振兆候者を抽出する.① 授業における演習の実施,② 推定試験偏差値の算出,③ しきい値の設定と下位判定,④ 授業期間中に①~③を繰り返す.試験偏差値の推定は各授業の終了時に行う.推定に利用する式や成績不振兆候者の抽出手法については,蓄積した各年度の学習データを適用することによって決定する.詳細なアルゴリズム等については,蓄積されたデータの分析を行ってから補正等を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張の旅費が,新型コロナの影響でオンライン開催となり,不要となったため。
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