研究課題/領域番号 |
18K02904
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
小薗 和剛 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30381015)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コグニティブコンピューティング / 人工知能 / 社会実装 / 機械学習 / 深層学習 / 応用システム |
研究実績の概要 |
本年度は、社会科学系学部・学科に所属する学生が、人工知能を社会実装する上で必要な知識やスキルについての検討を行った。 人工知能の社会実装において必要な要素は大きく二つに分類でき、「人工知能に関する技術的な知識や理解」、「社会の諸課題を把握し技術を応用できる知識」であるといえる。 前者は、①「人工知能の基幹理論である機械学習や深層学習についての理解」と、それらの理論を応用した②「システムの構築」、構築したシステムによる③「サービスの提供」とに分類される。人工知能を理解する上で基幹理論の理解は必要であるものの、社会科学系の学部・学科においては、所属する学生は基幹理論の研究を行うものでは無いので、機械学習ならびに深層学習についての学習は、学生がそのイメージを理解できる程度の概要の把握が中心となる。 一方、後者では、基幹理論の概要を理解しつつ、社会の諸課題に人工知能を使ったシステムを社会実装するための素養が求められる。ここでの素養とは、①「社会における諸課題を把握できる」、②「各種課題の解決すべき要点を抽出できる」、③「解決すべき要点を人工知能の活用とマッチングできる」の大きく三つに分類される。人工知能を社会実装する際には、特に項目③の視点が必要であり、実社会における様々なケースを用いて理解することが必要である。また、項目③については、学習内容の細分化と人工知能に関する技術的な知識や理解との整合性についても更なる検討が必要である。 本年度の研究成果を踏まえ、次年度においてはより詳細な検討を加えるとともに、日進月歩で進化する人工知能の社会実装についての普遍的な要素の確定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工知能を社会実装する上で必要な知識やスキルについては、「人工知能に関する技術的な知識や理解」、「社会の諸課題を把握し技術を応用できる知識」分類できる。前者はさらに、①「人工知能の基幹理論である機械学習や深層学習についての理解」と、それらの理論を応用した②「システムの構築」、構築したシステムによる③「サービスの提供」とに分類され、後者は、①「社会における諸課題を把握できる」、②「各種課題の解決すべき要点を抽出できる」、③「解決すべき要点を人工知能の活用とマッチングできる」に分類される。 現在、人工知能については、各種サービスが提供されており、平成30年度は、各種サービスの評価と教育への導入について検討を行った。人工知能を用いた各種サービスについては、難易度や規模に応じて、①「仮想システムを構築し機械学習システムを構築する」、②「あらかじめ構築された仮想システム上に利用者が求める機械学習システムを構築する」、③「仮想システムならびに学習済システムを活用する」の三つのレベルに分類される。 社会科学系学部・学科に所属する学生が、人工知能の社会実装を行う場合、システムの構築を行うことは現実的ではなく、難易度別に学習を行う場合は③②の順番で学習を行うことが現実的である。 一方、近年では、音声入力に対する応答を中心としたスマートスピーカーなど、人工知能の利活用が一般社会にも浸透してきている現状を鑑みて学習環境についての検討も行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、社会科学系学部・学科に所属する学生が、人工知能を社会実装する上で必要な知識やスキルについての検討を行い、「人工知能に関する技術的な知識や理解」、「社会の諸課題を把握し技術を応用できる知識」であると定義した。また、人工知能を社会実装する上で必要な知識やスキルについては、「人工知能に関する技術的な知識や理解」、「社会の諸課題を把握し技術を応用できる知識」分類し、人工知能の学習環境については「仮想システムならびに学習済システムを活用する」、「あらかじめ構築された仮想システム上に利用者が求める機械学習システムを構築する」が社会科学系の学部・学科における現実的な環境であることを検討した。 今後の研究の推進方策としては、検討した結果を受け、パイロット授業を実施し、社会科学系学部・学科の学生が人工知能の概要と活用の基礎について学ぶ場を提供する。また、基礎的な知識をもとに、活用方法についても学習を進め、社会的な課題に対して人工知能を社会実装できるかの検証を行う。これらの検証を通じて、学習環境ならびに教材を整備し、社会科学系学部・学科における人工知能学習の教育内容について取りまとめを行う。 また、これらの取組を通じて得られた結果については、様々な場面で情報発信を行い、様々な教育機関において活用できるよう整備・公開する予定である。特に、Web等のメディアを利用した発信については、広く社会に研究成果を還元する予定としている。
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