研究課題/領域番号 |
18K02906
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
益川 弘如 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50367661)
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研究分担者 |
白水 始 東京大学, 高大接続研究開発センター, 教授 (60333168)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 問い / 思考過程 / 学習評価 |
研究実績の概要 |
学習者が深い理解を実現するための問題解決プロセスの要素として「疑問」や「問い」が生まれることの重要性が指摘されている。これまで、学習者の協調問題解決過程の発話分析などから、建設的相互作用が生まれているときには「わかっている」状態の発言と「わからない」状態の発言の行き来を通していることが見えてきている。本年度は、学習者自身が生み出す「問い」に注目し、その生み出す学習活動の価値と、生み出した「問い」の評価可能性について研究してきた。 まず、過去収集した授業における協調問題解決場面においての発話データを改めて分析し、問いを生み続ける資質・能力の育成について整理した。また、世界の協調問題解決テストの動向について調査し、『問い」を記録し評価することを念頭に、協調問題解決のCBT設計、メディア活用、ICT活用について動向を調べた。 授業実践を通した「問い」のデータ収集に関しては、前向き授業づくりネットワークの中学校教員、ならびに、国立大学附属学校授業づくりネット研究会に参加している小学校の教員チームの協力を基盤に、学習者が創る「問い」を収集した。単元レベルと授業レベルの2層に分けて、それぞれ児童生徒の策問データを収集した。単元・授業レベルそれぞれにおいて、本時の問いに対しての考えを問う問題、授業展開に応じて個人や対話を通した考えを問う問題、時間の経過ごとに同じ問いに対して答える問題、学習によって生まれる新たな疑問を問う問題などを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校ならびに中学校に協力をいただき「問い」のデータ収集を確実に進めることができた。しかしデータ整理が予定通りに進めることができなかったため、やや遅れている。一方、CBTに必要な要件については、情報収集を確実に進めることができた。こちらに関してもおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、下記への取り組みを予定している。 (1)学習者が創る「問い」のデータ収集の拡張:さらに校種ならびに前提となる授業デザインの多様さを確保する (2)CBT活用の可能性の追求:CBTの必要な機能要件の整理と、必要に応じて紙ベースなどによるモックアップ(ワークシート等)の検討 (3)「問い」に対する思考過程の研究:出された問い(出題者・学習仲間)に対してどのような思考過程を働かせているのかに関するデータを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で怪我をしてしまったため、対面での出張打ち合わせなどが実現できなかった。しかし、skypeなどで工夫して研究を継続した。また、予定していた雇用者が確保できず、データは収集できたものの、データ整理に取りかかることができていない。今年度はより良い質のデータを収集するため、繰越した予算を活用して、データ収集や情報収集のために予算を計画的に活用していきたいと考えている。また、データ整理に予算を活用していく予定でいる。
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