研究課題/領域番号 |
18K02909
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
成川 忠之 東海大学, 経営学部, 教授 (10381641)
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研究分担者 |
及川 義道 東海大学, 理学部, 教授 (00213611)
馬場 弘臣 東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (10459472)
園田 由紀子 東海大学, 教育開発研究センター, 講師 (40369450)
鈴木 広子 東海大学, 付置研究所, 教授 (50191789) [辞退]
安森 偉郎 東海大学, 教育開発研究センター, 准教授 (50369451)
林 大仁 東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (70449106)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オンライン学習支援 / Slack / メンタリング |
研究実績の概要 |
令和4年度にシステムのプラットホームをSlackに変更してオンラインでの支援環境を整備し,引き続き共同研究者の一人が担当する化学の授業において,オンライン支援環境での活動により,学習に対して心情が好転するか,検証を継続した。本研究の目的は,学習を積極的に回避する集団の構成メンバーを,別々に学習に対して好意的に学習する集団に加えて学習支援を行うことで,元の集団が,集団として学習を積極的に回避する行動が抑制されるかを検証することであったが,コロナ禍を経て学生の集団としての活動が変容し,積極的に学習を回避する集団の検出,抽出が困難な状況となった。このため,当該令和4年度についても,オンライン支援環境での活動が,個人の学習に対する心情が変異するかのみの検証となった。 令和4年度では,授業を受けている学生に任意で実証試験へ参加することをオンライン及び対面で依頼した。 実証試験は,令和3年度同様,事前事後アンケートに基づく心情の変化を調査した。対象とした授業は対面型であり,学生間相互の面識はある程度確保されていたと思われ,その分,オンライン支援環境上での書き込みに対する不安感が低下し,検証に必要なデータも令和3年度に比べて増加することを期待したが,実証試験への参加者は令和3年度と比べて微増となったものの,統計的な優位性を論じるに十分な情報を得るには至らなかった。ただし,令和3年度と同様に,オンライン支援環境での活動により,学習に対する不安感が改善される,学習に対して心情が好意的に変化する傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対面授業に戻ったことから,学生間の相互交流の増加によるグループの形成が行われ,集団に対するアプローチが可能になると期待できたが,グループごとの構成メンバー数が2,3人と少ないケースが多く,また,実証試験への強制参加を指示できないことから,同一グループの学生が実証試験に参加していないなど, 元のグループの分割,オンライン環境での学習,グループの再構築と行動の観察を実施することが困難であった。このため,開発したオンライン支援環境が集団の行動変容に影響するかに関する評価をこなうことができず,研究成果を公表するまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
運用試験への参加は任意に行わなければならない制約が設けられているため,集団メンバー全員を強制的に運用試験に参加させることが困難であるため,個人の学習に対する心情が好転すれば,集団,クラス全体としても好転するものと類推し,実証試験への書き込みを対面でも推奨しつつ,積極的にオンライン活動に対して好意的な書き込みを行うことで,参加者の意識がどのように変容するかを,事前事後アンケートの結果から検証を行う。 また,オンライン支援環境をSlack上に開発したシステムに限定せず,いくつかの既存のシステムも併用して,調査サンプル数を増やすような措置を講じる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果報告費用としての使途を計画していたが,論文発表等に十分なデータが得られず,想定していた予算を使用することができなかった。令和5年度には,追加のデータを加えた解析を行い,成果発表に繋げたいと考えており,次年度使用額については論文投稿費等に当てる予定である。
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