本研究は、ICT技術を教育に活かすための実践実験プラットフォームの開発、特に脈波解析による学習取り組み姿勢の評価を行うことができるシステムとして開発することを研究目的として、交付申請書に記載した研究実施計画に従って実施した。 先ず、初年度は本研究の主目的である脈波解析による学習取り組み姿勢の評価を行うことができるシステムの開発に向けて、被験者の生体情報として脈動波形をリアルタイムに測定記録し、これまでに測定してきた脳波データや、被験者からの回答情報(回答に要した時間と正誤情報)と併せて種々のデータ分析を行うことができる実験装置の開発を行った。脈動波形については、心拍間隔のばらつきに着目して、ヒストグラムやローレンツプロットや周波数スペクトルの形で分析できるシステムを開発した。 2年目は、学習取り組み時に無意識の内に計測できる種々の生体情報を測定して、学習取り組み姿勢を評価するための枠組みを作り上げるために、これまで測定に用いてきた脳波や脈波のような専用センサーを身に着けての測定だけでなく、多くの学習者が被験者意識を感じることなく、気軽に学習に取り組んでいる中で測定できる眼鏡型の眼球電位/眼筋電位測定デバイス(JINS社製MEMEスマートグラス)を接続し、眼球電位から眼球の上下左右への動きと、眼筋電位からまばたきのタイミングと強度と速度を測定できるシステムを開発した。 最終年度は、開発したシステムを用いて、本校学生を対象として英単語学習および単純な計算作業に取り組んでいる時の脈波解析を実施した。被験者が日常的に手軽に測定しやすい指先での脈波測定に加えて、より精密な分析のために胸部に電極を貼り付して心筋電位を直接測定したデータも併せて解析した。これらの生体情報全てを統合的に分析することで、被験者の学習取り組み姿勢を評価することができるシステムとして完成させることができた。
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