研究課題
令和4年度は,新型コロナウイルス感染拡大によって延期されている第6フェーズを継続し,これまでの実践を整理・評価するとともに,研究の総括的考察を行った。具体的には,アーギュメント指導がまだ一般的でない日本での教育普及のためのプログラムのあり方を探った。これまでのアーギュメントに関する教師教育研究は,主に理系教師を対象としていたが,本研究では,論述指導がまだ一般的でなく,時間的制約から教師養成が困難な状況において,理科を専門としない初心者のための教師教育をどこから始めるべきかについて示唆を与えた。また,理科教育において,小学生が書くアーギュメントの困難さが指摘されているが,指導方法の改善が必要な箇所は指摘されていないため,小学校中学年の生徒の論証力向上の可能性を探り,どのような困難があるのかを明らかにすることで,段階的なアーギュメント指導プログラム開発に資する知見を提供した。これらの研究成果について,国際的な学術誌2誌で公表した。さらに,国内外の科学教育関連の学会(遠隔開催を含む)や学術論文から,アーギュメントや科学的論述能力の指導法に関して広く情報収集・交流を行うとともに,新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑みながら,可能な範囲で科学系博物館や理科の公開授業研究会,科学イベントにおいて,プログラム開発のためのさらなる教材コンテンツや指導法についての情報を収集した。期間全体を通して,アーギュメントを初めて指導する初級段階から,より複雑で複数の証拠を利用するアーギュメント指導の段階まで,実践における教師の指導の在り方を示しながら教師教育に資する知見を提供し,国内外の学会や学術論文において研究成果を公表した。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Eurasia Journal of Mathematics, Science and Technology Education
巻: 18 ページ: em2104~em2104
10.29333/ejmste/11966
Journal of Baltic Science Education
巻: 21 ページ: 445~461
10.33225/jbse/22.21.445