研究課題/領域番号 |
18K02947
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉本 定伸 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (00321406)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肢体不自由 / ICT機器 / 特別支援教育 / 支援技術 |
研究実績の概要 |
特別支援教育においてICTの活用は非常に有効な手段であるが,本研究では特に直感的な操作が可能なKinectセンサーを活用することで,肢体不自由を有する児童生徒や特別支援学校の教員・介護職員にとって有用な支援システムの開発を行っており,平成30年度の研究では,Kinectセンサーで開発を行っていた腕トレーニングシステムをベースに,より性能の向上しているKinect V2センサーを用いた自立支援システムへとブラッシュアップを進めた.開発においては,特別支援学校の関係者からの意見を収集し,検討を行いながら実施した. 特別支援学校における児童生徒,教員,介護職員といったユーザーの視点から,特に次の点についての開発を進めた.まず,児童生徒一人一人の特性にあわせられることを配慮し,より興味を持てるようにゲームの編集機能を実現した.これは,現在デフォルトとして用意しているゲームをベースにし,そこで利用される画像等を変更することにより,より個々に適した,カスタマイズされた新たなゲームとして追加できる機能である.次いで,教員や介護職員,あるいは保護者などの関係者が,児童生徒の状況を確認,共有できる一つの機能として,ゲーム時の手の距離に関する結果をグラフとして表示する機能を追加した.Kinect V2センサーを用いた自立支援システムのより広範な活用も念頭に,軽度な肢体不自由を有する児童生徒を対象とし,新たなゲームも追加した.また,特別支援学校関係者からの意見より,実装されているゲームの楽しさに関して,対象となる生徒に関しても有効であると考えられることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の研究において,肢体不自由者のためのKinectセンサーを用いた腕トレーニングシステムの開発を行っており,それをベースに,より高性能なKinect V2を用いた自立支援システムとして,プラッシュアップを行いながら開発を進めた.開発に際しては,利用者の分かりやすいインターフェイスとすることが重要であり,特別支援学校関係者のコメント等を意識しながら,ゲーム編集機能やグラフ表示機能,新たなゲームの検討・追加等を行っている. 特に,より多くのユーザーが活用出来ることも必要であることも考慮し,従来の対象者として開発を進めていた重度の肢体不自由を有する児童生徒に加え,さらに軽度の肢体不自由を有する児童生徒を想定し開発を行い,現在の自立支援システムのゲームの楽しさに関する有効性を確認できた. 他方,Kinectセンサーに関して新しい製品が発表されるとの情報を得たため,新たなICT機器等については,今後の状況を検証しつつ導入することとした.この新しいセンサーの導入により,より高機能な自立支援システムへと改良できることも考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
1年目に開発を行ったKinect V2センサーによる自立支援システムを,引き続き改善点等の検討を行い,更なるブラッシュアップにより完成度を向上させる.また,開発に際しては,実際のユーザーからの意見が重要であることから,今後も同様に特別支援学校関係者等からの意見を踏まえた開発を進める予定である. さらにICTを導入する上で,社会の技術の動向にも注視し開発を進めることは重要であるが,ICT機器に関して,特に次年度中に新たなKinectセンサーの発表が予定されているとの情報があり,その有用性を検討するために,新たにそれらも導入しながら検討,開発を進める.そのため,新たなハードウェアに対応した開発の準備も必要になることが考えられるが,Kinect V2センサーを用いたシステムよりも,さらに高性能な自立支援システムを実現できる可能性も考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題を遂行するにあたり中核となるICT機器に関する新たな製品の情報として,特に重要となる新型センサーの発表があった.そのため,開発システムの性能向上を目的とし,次年度にそれらを導入する計画を考えた.次年度においてはこれらを用いた開発のための環境構築及び導入についての検討を行う予定である.
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