ICTを活用した教育が特別支援教育においても推進されてきている.ICTを活用することで児童生徒一人ひとりの状況に応じた教育の実施,教師や介護職員の連携,また準備などの負担に対して有用なシステムとして,自立活動支援システムの開発を行った.本課題では肢体不自由を有する児童生徒を対象とした,体の動作や気づきに焦点をあてたゲーム形式をベースとしたシステムの開発を進めた.直感的な操作が可能なKinectセンサーを活用することで,児童生徒は身体に特別な器具等を装着することなしに行うことが可能となる. Kinect V2センサーを利用し,利用者にとっての使いやすさなど,ユーザーの視点を重視しながら開発を進め,例えば腕を動かしにくい児童生徒のためのフォローを考慮したゲームモードの実装,より利用者にわかりやすい画面へUI変更などブラッシュアップを行った.一般的な利用を考えた場合,若干機能の完成度向上などが必要と思われるが,自立活動支援システムとしての概形は完成できたと考えられる. 一方,今後の本システムの性能向上や特別支援教育に影響すると考えられる新型のKinectセンサーとして,Kinect V2センサーよりも高性能化が図られているAzure Kinectセンサーが発表された.そこで本システムの機能の一部をAzure Kinectセンサー用として開発し検証を行った.その結果,例えば車椅子の利用時など児童生徒の状況によらず,Kinect V2センサーを利用したシステムよりもシステムの認識精度の向上が見込まれることが分かり,今後Azure Kinectセンサーを利用することで,より高性能なシステムの開発に繋がる可能性も確認された.
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