研究課題/領域番号 |
18K02956
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小南 陽亮 静岡大学, 教育学部, 教授 (30221980)
|
研究分担者 |
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 生物多様性教育 / 探究活動モデル / 身近な自然 / 里山二次林 / 人工林 / 理科教育 / 環境教育 |
研究実績の概要 |
森林における生物多様性を深く理解する探究活動のモデルを開発するために、研究期間4年の3年目(2020年度)は次の内容を実施した。 1)モデルに使用する森林観測データの収集とデータベースの構築:里山二次林と針葉樹人工林のそれぞれについて、研究代表者と分担者が保有する森林の観測データからモデルに活用できるデータを抽出する作業を完了した。里山のデータについては、モデル用のデータ観測を継続し、2019年度にほぼ完成させたデータベースをさらに充実させた。針葉樹人工林については、静岡大学農学部附属の天竜フィールドにおける観測データから抽出したデータに基づく立地環境と樹木の成長との関係を探究するデータベースの作成をほぼ完了し、得られたデータをモデル用に簡略化する作業を継続した。 2)モデルの開発:構築したデータベースを使用して森林を対象に生物多様性を探究する内容と手法を考案し、中等教育で扱えるモデルの開発を継続した。 3)モデルを使った学習の実践と効果の検証:里山二次林のデータベースを使い、静岡大学附属浜松中学校の生徒、公立中学校の生徒、公立・私立の高校生が参加する講座を開催し、中学生と高校生がデータを解析して、樹木の分布から生物多様性が維持されるメカニズムを探究する実践を行なった。この実践により、高校生と中学生を対象に、構築したデータベースを使ったモデルを学校での探究活動に応用できる可能性が高いことを確認できた。このように、本課題が目指すモデルの主要部分である生物多様性教育における探究モデルの効果検証とブラシアップを行う実践データの収集に着手することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度には、本課題が目指すモデルの主要部分である生物多様性教育における探究モデルの効果を検証し、モデルをブラシアップする実践データの収集に着手することができた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大を防止する社会的状況から、2020年中に予定していた中学校と高校における実践は全て中止せざるをえなくなり、上記の実践データについては、2021年2月に行なった1回の講座のみでの収集となった。このため、探究モデルの効果を検証した学術論文の作成に必要なデータを十分に収集することができず、2020年度に学術論文を公表することができなかった。また、針葉樹人工林について構築したデータベースについても、それを用いた試行的な実践は全く行えなかった。以上の状況により、最終年度である2021年度に予定しているモデルの効果検証・ブラシアップに必要な実践データの収集が当初予定よりも遅れることになった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2021年度には、データベース構築、モデル開発、モデルの実践と効果の検証を完了し、成果の全体をとりまとめた上で、静岡大学学術リポジトリ等を活用して、データベース、探究活動モデル、実践例を公開する予定である。モデルの効果検証・ブラシアップに必要な実践データの収集が当初予定よりも遅れているが、新型コロナウィルスに関する社会的状況に十分に配慮し、遅くとも2021年度後半には実践データの収集をまとめて行う。新型コロナウィルスの状況によっては、モデルの根拠となる学術論文の作成・公表およびモデル等の公開が2021年度中には実現できない可能性があるが、実践データの収集は必ず終えて、研究期間終了後に学術論文の公表とモデルの公開を行えるようにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大を防止する社会的状況により、2020年度中に予定していた中学生と高校生対象の講座のほとんどを中止し、それらの実践に用いる予算を未使用額として2021年度に繰り越した。2021年度には、繰り越した予算は、当初予定よりも遅れている分も含めた実践データの収集のための経費に充てる。
|