研究課題/領域番号 |
18K02967
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50411484)
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研究分担者 |
長瀬 美子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50247889)
竹歳 賢一 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (20712334)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 物や現象 / 性質・仕組み / 乳幼児期一体型 / 数理教育カリキュラム / 探索相 / 遊び相 / コミュニケーション相 |
研究実績の概要 |
2019年度の主な研究実践の具体的な内容は、以下の通りである。 (1)「空気遊び」を、1歳クラスの男児2名に対して2月・10月の計2回実施した。マイクロジェネティック法を用いて探索特性について分析した結果、探索相(=「もの(=物質)」や「こと(=現象)」との関わり方)、遊び相(=遊び方)、コミュニケーション相(=気づきの共有の仕方)のそれぞれについて5つの段階が存在することが明らかとなった。さらに探索相、遊び相、コミュニケーション相の3つの相において、時間と共に5つの段階間に移行が見られることが明らかとなった。 (2)「音遊び」を、1歳クラスの男児1名に対して約1ヶ月の間隔で計3回実施した。マイクロジェネティック法を用いて3回の「音遊び」に関する探索相、遊び相、コミュニケーション相の各段階の表出頻度を分析した結果、探索相及びコミュニケーション相では段階間に移行が見られず、遊び相では段階間に移行があることが明らかとなった。 (3)「ひもの伸び縮み遊び」を、1歳クラスの男児1名・女児2名に対して2ヶ月で計4回実施した。マイクロジェネティック法を用いて4回の「音遊び」に関する探索相、遊び相、コミュニケーション相の各段階の表出頻度を分析した結果、探索相及び遊び相には①段階性があること、②探索段階間の移行が見られたこと、コミュニケーション相では段階間の移行がなかったことが明らかとなった。 (4)本研究の成果は、日本保育学会・日本理科教育学会・日本教科教育学会・日本乳幼児教育学会の国内4学会において計5回、PECERA(Pacific Early Childhood Education Research Association)の主催する国際会議において計1回の発表を行った。国際シンポジウムを開催し、国外の研究者との研究交流及び社会貢献を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の本研究の目的及び計画は、(1)研究協力校園における乳児(1歳児)の感覚による認知調査を実施する、(2)2018年度計画の「感覚による認知調査結果」を基にして幼児(2~ 3歳児)の感覚による認知の実験的仮説モデルを構築する、(3)(2)で構築した幼児(2~3歳児)の感覚による認知の実験的仮説モデルと2018年度計画で作成した理論的仮説モデルを基に、幼児(2~3歳児)の数理教育カリキュラムを策定し、研究協力園において効果を検証することであった。 (1)については、2018~2019年度に1歳児を対象とした探索行動における認知特性の調査を実施した。また(2)及び(3)については、乳児(1歳児)の感覚による認知調査の結果得られた膨大な動画データの処理に想定外の時間を要したため実験的仮説モデルの構築までには至っていない。 しかし、(1)乳児(1歳児)の数理教育カリキュラムとして「空気遊び」、「音遊び」、「ものの溶け方遊び」、「ひもの伸び縮み遊び」、「ものの浮き沈み遊び」の5つのカリキュラムが完成している。さらに(2)乳児(1歳児)の感覚による認知調査により得られたデータの分析が一部終了したことにより、探索行動における乳児(1歳児)の認知の理論的仮説モデル及び実験的仮説モデル構築については、概ね完了の目処が立っている。 以上の理由から、2019年度の本研究の目的は、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究結果を踏まえ、2020年度は以下の様な研究計画を立案し、遂行していく。なお、これらの研究成果については、国内外の学会等で発表していく予定である。2019年度に引き続き、(1)膨大な動画データを解析することによる1歳児を対象とした探索行動における乳児(1歳児)の認知の理論的仮説モデル及び実験的仮説モデルを統合した認知探索特性モデルの構築、(2)幼児(2~3歳児)の感覚による認知調査の実施及び理論的仮説モデル及び実験的仮説モデルの構築、(3)「数・ 量・形」や「自然の事物・現象」と関わる保育を先進的に実践している国内外の保育所・ 認定こども園におけるヒアリング調査や学会・国際会議、シンポジウム等を通して認知探索モデルの妥当性について検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) ・2019年度に購入した探索行動調査に必要な機材購入が、予定した額より安価に購入できたため。 (使用計画) ・2019年度の使用残額については、2020年度の探索行動調査に関わる実験教材購入費として支出する予定である。
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