研究課題/領域番号 |
18K02978
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
北 実 鳥取大学, 研究推進機構, 助教 (60359875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 放射線教育 / 安全衛生 |
研究実績の概要 |
本研究課題で作成する教材の「出口」として目指す内容についての情報収集のため、放射線の安全管理に関わる専門家を対象とした研修会3件に出席し、法令の考え方、法令に基づく放射線安全管理の実務例などについての情報収集を行った。加えて関連学会(1件)、放射線測定技術・原子力防災関連のセミナー(2件)に参加し、放射線安全取扱に関する最新技術・知見に関する情報収集を行った。また小中学生向け(15件)、高校生・一般市民向け(4件)、小中学校教員(2件)の講習会等に講師として参加し、本研究課題で作成する教材の対象者と接して、現在の放射線教育についての課題についての情報を得た。 これらの情報収集を通して、「専門家が必要な知識(専門教育)」は必ずしも高度な専門性を持つものばかりでなく、小中学生でも理解可能な基礎的な知識も含まれていることが再確認できた。また小中学生、高校生・一般市民と講習会等で接することで、対象者(小、中、高校生といった学年の違い、社会経験を積んだ大人、教員など)に応じた段階的な教育内容の組み立ての必要性を強く認識できた。 しかし現在の放射線教育の課題の1つとして、時間数の制約が大きいことが確認された。例えば現在最も小中学校で放射線教育に大きな時間を割いている福島県内でも、年間2時間程度である。他の教育同様、放射線教育でも定着を図るためには繰り返し学習が必要と考えられるが、このためには「1つの学年」だけでは時間が足りないことが明白となった。また社会人に向けた講習会等でも、何度も繰り返し受講される方はほとんど見られなかったことから、1度の講習で伝えられる範囲の教材の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(平成30年度)は情報収集期間であり、法令、放射線測定技術、原子力防災などについての専門教育に関する情報が収集できた。しかし医薬品分野における情報収集がやや不足していることがわかった。また新しい技術・知見は日進月歩であり、今後も継続した情報収集の必要性を強く認識することとなった。 一方で当初の予定より多くの一般教育(小中高校生・一般等)に関わる場が得られた。これにより当初平成31年度に予定していた「安全衛生教育をベースとした教材作成」の元となる教材の試験運用も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
【情報収集】ここまでに更なる情報収集の必要性がわかった医療分野を中心に、研修会等への参加や研究者らとの意見交換、文献等による調査を通して情報収集を継続する。 【教材の作成】平成30年度に収集した情報を元に、安全衛生教育をベースとした教材を作成する。教材のうちソフト(プレゼンテーション教材)については、配布が用意で安価な形での作成を行う。また実演・実習教材も配布可能な形での開発が望ましいが、配布により費用が増大することを防ぐために、貸出が容易にできる状態または作り方等を公開できるように検討したい。 【教材の実践】 開発を進めた教材を、実際の放射線教育・講習会等の場での運用を進める。運用に際しては現場での情報(会場での受講者の反応、感想、小中学校等では現場教員の感想等)を集め、教材への還元を図る。
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