研究課題/領域番号 |
18K02978
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
北 実 鳥取大学, 研究推進機構, 助教 (60359875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線教育 |
研究実績の概要 |
当初計画では令和元年度までに組み上げた教材を元に実践を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、実践の場に著しい制約が生じた。このためオンラインによる放射線教育の実施も並行して試みた。オンラインでは、現地の実施者に協力を得て、現地でも実習を行ったケースと、画面越しにこちらの実習(実践)を見せるだけの形、またその併用を試みた。 令和2年度は、小学校18件(内、オンライン9件)、中学校1件、小学校教員2件(内、オンライン1件)他、原子力防災4件(内、オンライン2件)で試作した教材を使用した。 対面式とオンラインで同等の内容、教材による講習会等を実施した。小学校では質疑応答の件数に差異は見られなかったが、原子力防災(成人対象)ではオンラインで実施した際には質問が激減した。これらの講習等で出た質問は、話した(実験した)内容ではなく、それに関連した(派生した)周辺的な内容であったことから、質疑応答の件数は講習の内容が「理解できなかった度合」ではなく、「興味を持った度合」に影響した可能性があると考えた。このことから、現在開発中の教材では、小学生はオンラインでも関心を持ちやすく、成人では関心を持ちにくい可能性があると考えられ、成人用のオンライン教材は改良の必要性を強く感じた。 霧箱等実習教材は、webカメラ、書画カメラを併用することで、オンラインでも指導できることが確認できた。またオンラインの場合、現地での協力を得ることにより、双方の空間線量を同時に比較することができることから、西日本・東日本の異なる環境で線量を測定することで、自然放射線の地域差を実感できることを確認した。このことから、オンラインならではのメリットも得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度、完成した教材を使用して、小中学校教育、一般市民講習、専門教育で放射線教育の実践を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、講習会の開催ができなくなった。このためオンライン形式による講習会を12件試みたが、開発した実習教材は対面による実施を想定していたために十分使用できなかった。しかし一方で全国でオンライン環境の整備が進んだことから、視聴覚教材整備の必要性が増していることが確認された。このことから1年間の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き情報収集を行うほか、当初企画していた高線量地域での放射線測定を併用した放射線講習会の試行を実施予定としている。しかし、感染症対策の必要性等により実施が危ぶまれる場合は、オンライン教材の公開および教材の貸し出しによる実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、自然高線量地域(鳥取県三朝温泉周辺)での講習会開催を予定していただが、新型コロナウイルス感染症対策のために開催できなかった。このための経費が使用できずに次年度使用額が生じた。次年度、再度開催を試みるが、開催できなかった場合は教材等を貸し出す形で講習会に代わる実践を行う予定である。
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