昨年度、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響で実施できなかった、自然放射線が高い地域での放射線測定を併用した放射線講習会について、参加者を特定の放課後児童クラブに限定することで実施することができた。加えて1年間の延長期間を利用して、小中学生を対象としたオンラインによる放射線教育を実施した。 自然放射線が高い地域での放射線測定を併用した放射線講習会は、2日間構成で実施した。前年度までに組み立てた自然放射線を用いた実験を中心とした屋内での放射線講習会を行った。その上で2日目に県内のラドン温泉地域で放射線測定を行った。1日目の実験では当初放射線に対して「怖い」という児童もあったが、ゴム風船を線源とした霧箱実験では安心して、興味を持って取り組むに至った。2日目の放射線測定を行う段階では、高線量の放射線が危険なことを理解しつつも、自然放射線レベルの放射線に不安を感じる児童は無く、線量が高くなることが予想されるトンネルや御影石、ラドン温泉の湧出口などを積極的に測定していた。ラドン温泉の湧出口では、湧出口近くでは線量は高いものの、少し離れると急激に線量が下がること(距離の逆二乗則)を実際の測定により理解することができた。「どこの放射線が多いか?」という問いに対して「実際に測ってみる」と、測定により放射線量を評価する概念が身についた児童も見られた。 またオンラインの講習会では、原子力発電所事故と学校の除染については話したのち、福島県内の小学生とお互いの部屋の放射線量を測定して比較する試みを実施した。鳥取県内の放射線量に比べ、福島県内の小学校教室及び校庭のモニタリングポストの値が低い結果となり、児童からは「現在の放射線量が安心できることが分かった」旨の感想が寄せられた。
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