研究課題/領域番号 |
18K02985
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研究機関 | 兵庫県立人と自然の博物館 |
研究代表者 |
久保田 克博 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (10812521)
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研究分担者 |
佐藤 裕司 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (80254457)
三枝 春生 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (70254456)
池田 忠広 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (50508455)
加藤 茂弘 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (50301809)
半田 久美子 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (20311483)
生野 賢司 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (10804205)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 恐竜 / 化石 / 生涯学習プログラム / 基礎自治体 / 体験 |
研究実績の概要 |
平成30年度に引き続き、岐阜県、福井県大野市、石川県白山市、鹿児島県薩摩川内市に設置された博物館において担当者に聞き取り調査を実施した。また岡山市や長崎市の博物館の見学も行った。それぞれの基礎自治体では県や大学、調査団と連携して研究や普及事業を進める一方で、地域に根差した施設としての様々な取り組みを進めている実態と地方における課題が見えてきた。 新たな生涯学習プログラムとして、児童向けの恐竜ジオラマづくりや化石アクセサリーづくりの開発を進めるとともに、既存の疑似化石剖出体験の改良も行った。これらのプログラムは試行実験の過程で参加者にアンケートを実施し、内容の評価や進め方の改善を行った。特に恐竜ジオラマづくりは研究成果に基づいた情報から、参加者の創意工夫により多彩な作品を生み出すことができるものである。この流れは参加者の主体的な学習や想像力の促進を誘発するものであり、小学校の学習指導要領で掲げられる目標に通じるものと言える。更に指導員との交流により、その効果をより高めることができた。 一方で、地方において恐竜や化石をテーマとした普及事業を持続可能にする体制の検討を目的として、地域住民をはじめ、ワークショップや化石関係のボランティアの参加者に意見や要望に関するアンケートを実施した。その結果、要望が多かった丹波地域の脊椎動物化石の講座を実施するとともに、令和2年度に向けて地学に範囲を広げた連続講座の企画を進めた。メールにて、ボランティア関係者への情報発信も開始した。また、普及事業に関わる各種指導員の組織づくりについて、外部団体と協力をしてその構築と地域への展開を進めるとともに、開発したプログラムの一般化に向けて調整を行った。更に比較的指導が容易な化石レプリカ作製体験については貸出可能コンテンツとしての準備も進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年度までに国内で恐竜化石が産出した主要な自治体の視察および聞き取り調査を実施することができた。 開発を進めた3種のプログラム(恐竜ジオラマづくり、疑似化石剖出体験、化石アクセサリーづくり)のうち、前2者は複数回の試行実験の結果を踏まえ改良を重ねて、正式プログラムとしての準備を整えることができた。一方で、冬期に開発した化石アクセサリーづくりは3月に試行実験を実施する予定であったが、コロナウイルス拡大の影響で行えていない。 ワークショップや化石関係のボランティアの参加者からの要望に対応し、講座やメール等による情報発信を行った。令和2年度に実施予定である地学関連の連続講座や指導員の組織づくりの準備、指導員を活用したイベントなどについて、必要に応じて外部団体も含めて、調整を開始している。しかし、コロナウイルス拡大の影響で打ち合わせの最終段階にまで至っていない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに視察した日本国内の恐竜化石産地における博物館活動について役割や特徴、外部組織との連携についてまとめを行いたい。 恐竜や化石の普及事業について持続可能な体制を構築するために、新規開発および改良した生涯学習プログラムと予め準備した化石レプリカ作製体験を活用して、県内外で指導員が活躍する場を提供できるように努めることとする。また、そのための管理団体として調整を進めている組織との連携を強化し、この活動が一過性ではなく、持続的なものになることを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の多くがレプリカ作製体験の型取りに使用する予定の実物化石(ティラノサウルス)の購入費であった。実物化石は現品限りであり、必ずしも型取りに適切なものが適正価格で市場にあるわけではないため、令和2年度も継続して適切なものを探したい。なお、平成31年度はティラノサウルス以外の化石を使用して型取りを行った。 また、化石アクセサリーづくりおよび指導員の展開に係わる経費の一部も未執行であった。これはコロナウィルスの影響で試行実験を実施できなかったためであり、令和2年度も状況を踏まえて実験および展開を検討したい。
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