人間の音声生成をわかりやすく説明する物理模型の開発を主に、機構解明という科学的側面から、博物館・科学館や教育現場への応用までを実施した。見た目がより人間の顔に近い解剖模型タイプでは、2018年度に軟らかい舌を伴うモデルを、2019年度に下顎が開閉する機構を追加したモデルと改良版、軟らかい唇を追加したモデルも開発した。音源では、リードのサイズと素材を変えて子どもから大人までの声をカバーできるよう検討した。また、安定的に音が出て、さらにコロナ禍において衛生的に安心して利用できる空気ポンプ用リード式音源を開発した。また、筒型の声道模型を小型化し、スライド式の声道模型と音源をオンライン授業用に入手しやすい材料で工作できるようにも工夫した。 今まで開発してきた様々な模型と教材等を整理して教育プログラムを体系化した内容は、教科書の1章分として刊行された。また、国際音声コミュニケーション学会のDistinguished Lecturerとして、インドネシア(3都市4大学)とインド(2都市2大学)、日本国内でも国際会議での招待講演や国内学会の教育講演・WS、大学での講義等を実施した。 国立科学博物館のサイエンススクエアは2018年度が最後となったが、筒型の声道模型の他、解剖模型タイプの静的モデルをポンプとリード式音源と組み合わせて実施。一方、インドの科学館と連携してきた声道模型に関する展示は2020年度の終盤にほぼ完成した。その他、国内外の博物館や教育機関等とも連携し声道模型を使っていただく他、Acoustic-Phonetics Demonstrations (APD)のサイトからは声道模型の3Dプリンタ用ファイルに加え、動画の英語版も公開された。その他、音声生成機構の解明はNHK Eテレ「えいごであそぼ with Orton」実験監修や総合「ガッテン!」などでも引き続き活かされた。
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