研究課題/領域番号 |
18K02992
|
研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
竹本 石樹 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 教授 (90805277)
|
研究分担者 |
熊野 善介 静岡大学, 教育学部, 教授 (90252155)
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
小川 博士 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90755753)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | STEM実践開発 / STEM-PCK / 科学技術コミュニケーション / 産学官民の連携・協働 |
研究実績の概要 |
産学官民が連携・協働し,STEM教育実践者のSTEM-PCK(Science, Technology, Engineering and Mathematics-pedagogical content knowledge:以下省略)を変容させることを試みた。そのために,研究参加メンバーが同じ場に集い行うコミュニケーションとICTを活用し時間,空間に自由度を持たせたコミュニケーションを行った.そして、このようなコミュニケーション活動を通して,STEM-PCKを発達させた教師とともにSTEM実践の開発を行い、代表的な2実践を論文化した. 1つめは、小学校STEM教育教材としてのIoTブロックの可能性を追究する研究である.IoTブロックの一種であるMESH(SONY)が、小学校理科6年「電気の利用」の「ものづくり」場面において、どのような可能性を有しているか、実証的に調査したものである.成果としては、MESHは,子供たちの電気を制御する実体験の質を高める教材であり,子供たちの電気を制御することに関する知識面に大きく貢献することが分かった.また,Intrinsic Motivation、Creativity、Critical Thinking、Communicationにも大きく貢献していることが分かった.しかし,Collaborationへは,有意な結果が出ていなく,今後の課題として残った. 2つめは,STEM教育の考え方を取り入れた総合的単元構成に関する研究である.小学校理科6年「月と太陽」における課題を洗い出し,4つに整理した.そして,その課題を克服するために,STEM教育の視点から学習支援要素を検討し,実践した.その結果,それぞれの視点からの学習支援の妥当性が確認され,また,子供の認識面,態度面にも貢献していることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
STEM教育を推進するためには、実践者のSTEM-PCKに着目する必要があると考えている.多数の先行研究レビューを行い,STEM-PCKのフレームワークとその内容を明らかにすることに努めてきたが、現段階までにフレームワークとその内容は結論づけることができていないため. 産学官民が連携・協働したコミュニケーションにより、実践者のSTEM-PCKを変容させる必要があると考えている。研究参加メンバーが同じ場に集い行うコミュニケーションとICTを活用し時間,空間に自由度を持たせたコミュニケーションを行い、それらを通して実践者のSTEM-PCKを変容させることを試みてきた。しかし、印象的には実践者の変容が確認できるのだが、客観的なエビデンスが得られていない。今後,コミュニケーション活動の質の評価と,コミュニケーション活動による研究参加メンバーの変容を評価する方法を確立する必要があるため. STEM-PCKが豊かであると推定される教師と実践開発を重ねてきた。質の高い実践は開発できたが、本研究では,STEM実践の「開発方法」を提案することを目的の一つとしている.そのため,今後,さらに質の高い実践を開発し、そこから得られる知見を統合し,「開発方法」に収束していく必要があるため。
|
今後の研究の推進方策 |
・STEM-PCKのフレームワークを確立するために,STEM推進国であるアメリカのSTEM教育研究者の研究から学ぶ必要があり,それらを多面的・多角的に情報収集する. ・STEM教育実践を開発するに当たり,コミュニケーション活動の質の評価と,コミュニケーション活動による研究参加メンバーの変容を評価する方法を確立する必要がある.コミュニケーション活動を繰り返し行い,その都度,それらを質的に評価し,改善を繰り返す方法をとることとする.なお,コミュニケーション活動を質的に評価するために,質的評価コンピュータソフトNVivoを導入する. ・STEM-PCKを発達させた研究者とともに,さらなるSTEM教育実践の開発を行う.多くのSTEM教育実践を収集し,それらを基にSTEM教育実践者とSTEM教育研究者によるカンファレンスを通してSTEM実践の「開発方法」を検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者である京都ノートルダム女子大学の小川先生の残額である.次年度使用額と合わせ使用することにより,有効活用できると聞いている.
|