個人は、自らの価値観とそれを取り巻く環境を考慮し、予測できない転機へ対応し、組織に依存せず、自己責任の上でキャリアを構築することが求められている。本研究では、ナラティブな語りから個人の価値観とキャリア構築プロセス、特に、転換期(両立育児を含む)におけるキャリア発達プロセスのメカニズムを解明を目指した。特に、2020年度は、コロナ感染症流行に伴い、本来キャリアショックを迎える世代より若い世代においても、自らにキャリア、すなわち、生き方を問いかける必要に迫られる時代でもあった。 本来の対面でのヒアリングができなかったことが、かえって、許可を得た録音が可能なオンラインミーティングでのヒアリングを実施できたため、ナラティブな語りを丁寧に見ることができたことは大きい成果であった。 これにより、次年度以降の今までにない視点からの研究のきっかけを得た。 具体的には、オンラインで、その特徴を異なる年齢層、キャリア層へ相互フィードバックする場を設計し、女性技術者の意識変容とその発達プロセスに与える影響と効果を検討した。ヒアリングは、キャリアコンストラクションインタビュー(CCI) によるライフデザインアプローチを通じて、ナラティブアプローチにより調査し、幅広い年代層の女性技術者のキャリア発達のプロセスの分析を行った。個人のキャリアに対する価値観の環境への順応、意思決定・意識転換をアイデンティティの統合プロセスの分析を通じてキャリア発達のメカニズムを解明した。
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