研究課題/領域番号 |
18K02999
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
鈴木 護 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10356214)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 特殊詐欺 / 犯罪被害 |
研究実績の概要 |
本研究は、今後の手口の変遷にも対応可能な、詐欺被害リスク低減に有効な対処行動を抽出することを目的とする。これまで特殊詐欺の様々な手口を詳細に説明し、該当する場合は詐欺だと判断するよう広報されてきている。しかし、架空請求詐欺の未既遂被害者を対象とした調査では、被害者にとって想定外の手口が用いられた場合に、被害の既遂化リスクが高まることが明らかとなっている。被害者自身が知っている手口ではない欺罔によって、被害者が真正で対応が必要な問題であると誤認して、金銭をだまし取られないようにするためには、被害者の対処能力の向上が求められ、本研究はその知見提供を企図するものである。 当初3年計画で開始した研究ではあるが、新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、研究期間を延長した上で、令和3年度が最終年度となった。 これまで、関係機関が実施した被害者に対する質問紙を用いた聞き取り調査のデータ(過去5年分)の提供を受け、分析を進めた。結果として、設定した選択肢に該当しない回答項目が多く、自由記入欄の内容分析を中心に実施する必要があることが明らかとなった。 さらに、被害の既遂化に影響する対処行動を抽出することを目的として、調査趣旨を説明した上で調査協力を承諾した既遂被害者と未遂被害者に対して、半構造化面接による調査に着手したが、事件の認知件数が想定を大幅に下回ったこと、また新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い人流抑制が強く訴えられる社会状況となったことから、調査対象者となりうる被害者から、調査協力が得られない事態が継続している。その一方でこれまでの調査からは、被害者と日常的に接するものの、家計や社会的背景が異なる人との緊急時における密接なコミュニケーションが、特殊詐欺被害の未然防止に効果的であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
調査協力者に対する面接調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの感染状況が過去最悪を度々更新したため、調査協力者の募集及び面接調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の発生状況を踏まえつつ、調査を継続する。また、面接調査の承諾を得るのが難しい状況から、非対面形式調査についても実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症例の発生が相次いだことにより、調査協力の依頼が困難であり調査協力者が得られなかったため、研究期間を延長して次年度に調査期間を延長することとした。調査協力の依頼を進め、得られた資料の分析を実施する。
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