研究課題
東洋の高コンテクスト文化・西洋の低コンテクスト文化についての理論論文として"Explanations for cultural differences in thinking: Easterners' dialectical thinking and Westerners' linear thinking"を執筆し、現在Journal of Cognitive Psychologyにおいて審査中である。東洋人の弁証法的思考傾向は、矛盾をコンテクストを用いて解消できるという信念によって生じていて、さらに、コンテクストの高低は、ビッグヒストリーアプローチから説明可能と主張している。また、グローバル化と低コンテクスト化についての書籍である『生きにくさ」はどこからくるのか―進化が生んだ二種類の精神システムとグローバル化』を執筆し、2019年6月に出版予定である。グローバル化がもたらした低コンテクスト状況に現代人の「生きにくさ」があることを主張している。このほか、インターネット調査によって、米国人と日本人の推論スタイルの差異を検討する実験を行った。高コンテクスト文化とされる日本人は、米国人よりも、ターゲットとなる推論のコンテクストの影響をより受けやすいと推定される。さらに、射流洪水があったという結果を知ると、写真の川の水の濁りを高く見積もってしまうという、知覚的(視覚的)後知恵バイアスについても実験を行った。後知恵バイアスは東洋人で大きいとされており、論文を執筆中で、学会において発表予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
インターネット調査による、日本人と米国人の推論スタイルの違いを検証する実験は、2020年度に実施の予定であったが、準備が予想以上にスムーズだった。
現在、日本人・米国人を比較した実験の論文を執筆し、ほぼ完成した後知恵バイアスの論文を投稿する。さらに、日本人、韓国人、台湾人、フランス人、英国人の5か国で行っている省略三段論法の実験について、台湾のデータがまだである。このデータの収集を行う。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (3件)
Frontiers in Psychology
巻: 9 ページ: 1-10
doi: 10.3389/fpsyg.2018.00505
大阪市立大学大学教育
巻: 16 ページ: 30-34