研究課題/領域番号 |
18K03010
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山 祐嗣 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (80202373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コンテクスト / 比較文化研究 / 後知恵バイアス / 推論 / 二重過程理論 / モラルジレンマ |
研究実績の概要 |
日本、韓国、台湾、フランス、英国において実施した、省略三段論法の受容の文化差(高コンテクスト文化において受け入れられやすい)を検討した実験は、本プロジェクトの中核で、Webで行われたInternational Conference on Thinking2020(2021に延期)において発表されたが、まだ論文執筆中である。受容についての文化差は見られなかったが、相手が知っているものを省略しても良いかどうかについては、日本、韓国、フランスにおいて許容されやすかった。これは、言語における省略の影響と推察され、高コンテクスト文化のコードスイッチング(相手によって省略の度合いを変化させる)の結果と推定される。また、大学院生の呉長億との共同研究で、コードスイッチングが、日本人が中国人に対して、中国人が日本人に対して行うということも推定された。この研究についても論文の執筆中である。「思考の文化差ー地勢的・生態的要因から文化多様性を考える」というタイトルで行った科学基礎論学会2021年度総会における特別講演は、これらをまとめたものである。 このほか、適応的思考という視点で、熟慮的システムが直感をどのように制御できるのかを議論しているが、繁枡算男(編)で新曜社から出版された「心理学理論バトル」において、「人間は論理的か?―進化心理学と二重過程理論」という章を執筆している。また、裁判における後知恵バイアスを実証した研究(弁護士の秋田真志、川﨑拓哉との共同研究)がApplied Cognitive Psychologyで発表された。また、Fronters in Psychologyにおいて、"The role of culture in human thinking and reasoning"というトピックの編集を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスパンデミックのため、渡航が全くできていない。海外の共同研究者とデータの綿密な解析や解釈の議論が、Webではなかなかすることができず、それが論文完成の遅延を招いている。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトは、新型コロナウイルスの世界的パンデミックによる研究の遅延によって、期間を1年間延長している。2022年度は、いくつかの論文の完成と、高コンテクスト文化・低コンテクスト文化の違いについて、言語の影響とコードスイッチングについての理論をより完成度の高いものにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスパンデミックのため、渡航が全くできていない。海外の共同研究者とデータの綿密な解析や解釈の議論が、Webではなかなかすることができず、それが論文完成の遅延を招いており、次年度も研究継続の必要性が生じた。
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備考 |
Salvano-Pardieuは、オルレアン大学にも在籍している
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