研究課題
本研究の目的は,利得(もしくは損失)が連続して与えられる文脈情報が,価値判断,及び予測に与える影響について,脳活動データと行動データを統合して明らかにすることである。人間にとって,様々な変化への適応は重要であり,人々は変化する文脈情報に対して,ユニークな反応を示す可能性がある。これまで,その根本的な脳のメカニズムを検討した研究は殆どみられなかった。連続して増加する(もしくは減少する)文脈情報と,それに関わる判断や予測に関わる脳活動の解明は,判断や予測を裏付ける貴重なデータとなり,様々な社会場面での行動予測に大きく貢献できる可能性がある。本研究では,その根本的な脳のメカニズムの解明を目的として,機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)を用いて脳活動を撮像した実験を実施した。2023年度は,連続する利得(損失)と価値判断の関係を検討したfMRI実験の結果についてまとめた学術論文が,国際雑誌で掲載され,研究の成果発表に至った。また,価値判断に関わる脳活動データと行動データの解析結果,及び認知実験の結果の一部を国内学会,及び国際学会で成果発表した。研究期間全体の成果としては,①価値判断と満足度の関係を検討する認知実験で使用する実験プログラムを作成した。②価値判断と満足度の関係を明らかにする認知実験を実施した。③認知実験で得られたデータをもとに,fMRI実験プログラムで用いる実験プログラムを作成し,fMRI実験を行った。④fMRI実験で得られた脳活動データと価値判断に関わる行動データをまとめ,連続する利得損失と価値判断に関する満足度,及び脳活動を統合的に解釈した。なお,これらの結果について,国内学会,及び国際学会で発表するとともに,国際学術雑誌で成果発表を行った。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience
巻: 23 ページ: 997-1013
10.3758/s13415-023-01087-3