研究課題/領域番号 |
18K03024
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
岩佐 和典 就実大学, 教育学部, 准教授 (00610031)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 行動免疫 / 感性的質感 / 視覚的濡れ感 / 嫌悪 |
研究実績の概要 |
2018年度は,行動免疫の感染源検出過程で利用される光学的なてがかりの特定を目指した。すでに画像内の高輝度領域個数が,視覚的濡れ質感の主観評定値をよく予測することが示されている。そのため,従来得られた研究知見の再現可能性を検証するとともに,嫌悪感受性や強迫症傾向といった個人内変数による影響を検討した。一般大学生50名に,視覚呈示された画像に対する感性的印象の評定をVASで求めた。その結果,先行研究と同様に,視覚による湿り気の評定値と,刺激の水分量との関係が概ね線形に近似することが示された。一方で,画像内の高輝度領域個数と湿り気評定との関係については,高輝度領域個数が少ない場合には線形に近似するものの,多い場合には線形性が保たれなかった。ここから,視覚的な湿り気推定には,高輝度領域個数以外の光学的変数が影響している可能性が示された。水分量および湿り気評定と,嫌悪感,接触回避動機,汚染リスク推定の主観報告との関係は,4次曲線によく適合していた。曲線の形状は,湿り気や水分量が中程度の場合に種々の行動免疫反応がピークを迎え,閾値を超えるとそれらが大きく低下し,それ以降は大きく変化しなくなることを示していた。従来,これらの関係は2次曲線に近似することが示されていたが,水分量のレンジ上限を広げた本実験から,4次曲線による予測がより適切だと考えられた。なお嫌悪感受性や強迫症傾向との関係については,現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験を完遂した。分析結果から,さらなる検討を要することが示されたが,次年度以降の実験計画に大きな影響をおよぼすものではない。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,高輝度領域個数以外の光学的変数を特定するための実験を行うとともに,高次認知過程の影響を検討するための実験を行う。すでに実験系は確立されており,速やかな実施が可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた眼球運動および瞳孔経の測定装置が,事前の予測よりも安価に購入できた。今年度の計画を遂行するうえで研究設備の不足はなかったため,不要な支出を避け,残額を次年度に持ち越すこととした。
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