研究課題/領域番号 |
18K03027
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
一言 英文 福岡大学, 人文学部, 講師 (80752641)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 幸福感 / 文化 / 社会環境 |
研究実績の概要 |
初年度となるH30年は、主に研究倫理審査、国際比較調査の現地協力者との調整、質問紙の用意、及び、パイロット調査に従事した。当初の予定に比べ、研究倫理審査と現地協力者の研究環境に予想外の問題が生じたため現在進捗状況に遅れが生じているものの、2019年春現在には、それらへの対処、状況の改善が見られ、パイロット調査データが得られることで進行が見られた。本年は、国際比較調査を終了し、時系列調査への着手を開始する予定である。 本研究は、現地協力者らとの調査スケジュールをあわせることができた日本、ペルー、香港で開始した。ペルーでは、都市部(Lima)と地方(Ayacucho)の大学生を対象とした心理学的調査研究を実施した。ここでは、世界的には集団主義文化に含まれるペルーにおいて、都市と地方という社会環境の違いが、協調的幸福感の得点、および、その他の幸福感との相関に与える影響を検討する。Hitokoto (2019)では、主にペルー都市部と日本の都市部における学生を対象とした比較文化調査の結果を発表した。また、先行研究(Hitokoto & Uchida, 2015)では十分に吟味されていなかった文化的自己観と協調的幸福感の関連について、一言(2018)にて発表した。後者については、現在英文論文として学術雑誌Journal of Happiness Studiesに投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ペルーにおける現地研究協力者が現在所属している大学にてストライキ勃発を受け、調査の準備・実施時期に大幅なずれ込みが生じた( https://spainsnews.com/students-from-colombian-public-universities-begin-indefinite-strike/ )。また、香港における現地協力者の近親者に重篤な病気が発覚し、彼女が帰省を余儀なくされたため、現在調査を遅らせる配慮を行っている。また、研究代表者が所属する大学学内の倫理委員会において、申請者とは研究領域の大きく異なる倫理委員1名によって一般的な国際的心理学研究では許容される同意参加取得方法が許可されない事態が生じ、国内の心理学系学会の倫理委員へ問い合わせた結果に対しても学内で許可が降りなかった。それゆえ、当初の予定を変更し、比較に関わる国外の倫理委員会にて本研究の研究倫理審査を行なうこととなり、その手続にかかる遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
ペルーにおいてはストライキが解消し、現在、現地都市部学生調査のパイロット調査を終了させ、5月中に都市部データを収集し終える予定である。また、ペルー地方の学生調査については、現地調査の準備を行い、早ければ今春に実施予定である。香港における遅れについては、帰省した者とは異なるもう1名の研究協力者に進行を移管させ、現地調査の準備を進めている。こちらの進捗によっては、香港に先行して、フィリピンにおける時系列調査の実施を実施する可能性もある。国外で実施することに変更した研究倫理審査は、現在申請資料を整えている段階であるが、申請すれば、申請後に大きな遅れが予想されるような特異な申請内容ではない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況に述べた理由により、予定の国際調査に海外にてずれ込みが生じていることが、次年度使用額が発生していることが主な理由である。海外での進展が見られ始めたため、次年度は、現在実施に至ったペルー調査にかかる経費、および、ホンコンにおける調査に用いる調査経費を当初の予定どおり支出する予定である。また、時系列調査については、海外での研究倫理委員会による審査が終了し次第に実施する予定であり、このための調査経費として支出を予定している。
|