研究実績の概要 |
本年度は、調査対象としていた南米ペルーにおける調査が、現地パンデミックの悪化に伴い延期となったことから、新たな調査対象としてフランスを設け、現地協力者と日本との間で、協調的幸福感の機能としてのCOVID-19症状抑制に関する研究を実施した。この調査は、パンデミック化の健康維持政策として、一般的には疫学的・医学的対処が推進されているとこと、文化的行動パターンとしての集団主義が感染抑制につながるとする先行知見をふまえ、集団主義文化における感染を忌避する傾向、および、身近な他者とつながることの幸福感である協調的幸福感に、感染症諸症状を負に説明する効果があるか検討した。これは、本プロジェクトにおける協調的幸福感の妥当性の検討として、あらたに生じたCOVID-19パンデミックを用いて国際比較を行ったものとして位置づけられる。調査および分析の結果、集団主義的な感染忌避、および、協調的幸福感の双方に感染症抑制的な説明関係がみられること、および、特に前者については日本で効果が大きく、また、後者については日本文化的な自己観によって協調的幸福感が説明される傾向に日本でより強いものが確認された。また、同様の再現知見を、平行して実施した日米比較でも得た。この研究や関連の知見は、査読付き学術誌に掲載され、国内・国際学会にて招待講演として発表するに至った。
Hitokoto, H. (2022). Cultural and individual level correlates of the interdependent happiness. International conference -Between narcissism and entitlement 2. Cardinal Stefan Wyszynski University, Warsaw, Poland. Hitokoto, H., & Adeclas, J. (2022). Harmony and Aversion in the Face of a Pandemic. Japanese Psychological Research, 64, 222-243. 一言英文 (2021). 感染症症状に対する個人的・関係的幸福の効果-パンデミック下の日米比較を通して-. 第62回日本社会心理学会大会.
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