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2020 年度 実施状況報告書

ユーモアの機能的形態の分化とその発達的要因および心理社会的適応への影響

研究課題

研究課題/領域番号 18K03033
研究機関中部大学

研究代表者

伊藤 大幸  中部大学, 現代教育学部, 講師 (80611433)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードユーモア / 感情 / 縦断研究 / いじめ / 不登校 / 抑うつ / 自傷行為 / 発達精神病理学
研究実績の概要

笑いとユーモアは,人類の進化の過程において,集団内での社会的遊びを促進することによって,身体的・認知的・社会的な発達を促し,個体や集団の適応を高めてきたと考えられている。一方,現代社会におけるユーモアの機能・形態は多様化しており,社会的遊びを促し,対人関係の構築に寄与する「親和的ユーモア」,ストレス事象から自尊心を保護し,精神的健康を維持・向上する「自己高揚ユーモア」,遊びの文脈の中で他者を攻撃し,社会的優位性を確立する「攻撃的ユーモア」,自らを貶めることで他者との対立を回避する「自虐的ユーモア」という4つのスタイルが見出されている。
本研究では,これらのユーモアスタイルが小中学生の心理社会的適応において果たす役割について,国内で初めて大規模かつ体系的な縦断的検証を行った。今年度は、3度目の縦断調査を実施し、3280名(男子1627名、女子1653名)から完全なデータが得られた。4つのユーモアスタイルは、r=.50~.60程度の時間的安定性を示した。交差遅延モデルによる検証の結果、「親和的ユーモア」や「自己高揚ユーモア」は心理社会的適応(友人関係、家族関係、精神的健康など)を促進する一方、「自虐的ユーモア」は適応を阻害することが示唆された。また、「攻撃的ユーモア」はいじめ加害や非行を予測した。一方、4つのユーモアスタイルに影響する要因を検証した結果、親の肯定的養育が「親和的ユーモア」や「自己高揚ユーモア」を促進する一方、否定的養育のうち、過干渉は「自虐的ユーモア」、叱責・体罰は「攻撃的ユーモア」を高めることが示唆された。
以上の研究結果を論文にまとめ、学会誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りに調査を実施し、論文を投稿した。

今後の研究の推進方策

本年9月に第4回の縦断調査を実施し、ユーモアスタイルの発達軌跡を明らかにするとともに、発達的要因や心理社会的適応との双方向的な因果関係を検証する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた国際学会での発表を行わなかったため。次年度の成果発表に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Fine and gross motor skills predict later psychosocial maladaptation and academic achievement2021

    • 著者名/発表者名
      Katagiri Masatoshi、Ito Hiroyuki、Murayama Yasuo、Hamada Megumi、Nakajima Syunji、Takayanagi Nobuya、Uemiya Ai、Myogan Mitsunori、Nakai Akio、Tsujii Masatsugu
    • 雑誌名

      Brain and Development

      巻: 43 ページ: 605~615

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2021.01.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 小中学生の自由時間の活動が心理社会的適応に及ぼす影響に関する縦断的検証2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤大幸・浜田 恵・村山恭朗・髙栁伸哉・明翫光宜・辻井正次
    • 雑誌名

      発達心理学研究

      巻: 印刷中 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Examining simultaneous associations of four emotion regulation strategies with abnormal eating behaviors/attitudes in early adolescents2021

    • 著者名/発表者名
      Murayama Yasuo、Ito Hiroyuki、Hamada Megumi、Takayanagi Nobuya、Myogan Mitsunori、Suzuki Katsuaki、Tsujii Masatsugu
    • 雑誌名

      Eating Behaviors

      巻: 40 ページ: 101449

    • DOI

      10.1016/j.eatbeh.2020.101449

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 一般小中学生における性別違和感と心理社会的不適応の関連:性別違和感尺度のカットオフ値の設定2021

    • 著者名/発表者名
      浜田 恵・伊藤 大幸・村山 恭朗・香取 みずほ・髙柳 伸哉・中島 卓裕・明翫 光宜・辻井 正次
    • 雑誌名

      発達心理学研究

      巻: 印刷中 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [学会発表] 縦断研究は発達の解明にどう貢献するのか2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 大幸, 白井 利明, 安藤 寿康, 宇佐美 慧, 遠藤 利彦, 氏家 達夫
    • 学会等名
      日本発達心理学会第32回大会

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公開日: 2021-12-27  

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