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2021 年度 実施状況報告書

児童から高齢者を対象とした善悪判断の心理メカニズムの解明とその支援

研究課題

研究課題/領域番号 18K03034
研究機関青山学院大学

研究代表者

米田 英嗣  青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (50711595)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード善悪判断 / 自閉スペクトラム症 / 共感性 / 道徳 / 視点取得
研究実績の概要

自閉スペクトラム症(ASD)の小学生16名(女性4名)、定型発達の小学生14名(女性9名)を対象に、イラストの人物が良い子であるか悪い子であるかを判断する課題を行ってもらった。人物判断の正答率を目的変数とし、学年、性別、自閉スペクトラム症に関連する症状を評価する質問紙であるSCQ(Social Communication Questionnaire)得点を説明変数とした重回帰分析を行った結果、SCQの得点が高いほど人物判断の成績が低くなることが明らかになった。性別と学年は、有意な説明変数とならなかった。この結果から、少なくとも学齢期においては、年齢を経るごとに他者判断の精度が向上するわけではないことが示唆された。
成果は、論文2本(1本が国際誌)、3冊の書籍(1冊が国際誌)にまとめられた。また、「自閉スペクトラムの科学的支援にむけて(2)」という日本心理学会主催の公開オンデマンドシンポジウムを企画、開催し、研究成果を広く一般に公開した。
今年度は、研究計画「サイコパシー特性を持つ成人による善悪判断の神経基盤」を行う予定である。さらに、本科学研究費の最終年度であることから、成果をまとめ、研究者や当事者、一般の社会人に向けて、成果を広く報告する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

5つの研究計画のうち、4つを終えており、当初の計画を充分に達成できる見込みのため、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

本研究課題で開発した、善悪判断に関する言語刺激による心理実験およびfMRI実験に基づき、結末文読解時、善悪判断時における脳活動を計測する。サイコパシー特性が高い参加者は、善悪判断をする際に情状酌量を行わず行為の結果に基づいて判断をし、情動的共感に関わる腹内側前頭前野の活動が弱いと予測する。さらに、他者の不幸な結末に対して線条体などの報酬系が活動すると予測する。サイコパシー特性が低い参加者は、善悪判断をする際に情状酌量を行い、不幸な結末に対する同情生起に関連する前部帯状回が活動すると予測する。

次年度使用額が生じた理由

国際学会参加のため計上していた費用が、新型コロナウイルスの流行のため使用できなくなった。翌年度にウェブ調査を行う費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Atypical cortical activation during fine motor tasks in autism spectrum disorder2021

    • 著者名/発表者名
      Suzumura Nao、Nishida Toshiki、Maki Nao、Komeda Hidetsugu、Kawasaki Masahiro、Funabiki Yasuko
    • 雑誌名

      Neuroscience Research

      巻: 172 ページ: 92~98

    • DOI

      10.1016/j.neures.2021.04.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語理解における時空間となつかしさ2021

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣・西田マリア
    • 雑誌名

      心理学評論

      巻: 64 ページ: 88-97

    • 査読あり
  • [学会発表] ASD小学生における人物判断 発達心理学会ラウンドテーブル話題提供 「学齢期から青年期への「移行期」におけるASD者の心理的課題 -認知機能の発達と精神的健康および適応状態-」2022

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣
    • 学会等名
      日本発達心理学会 第33回大会
  • [学会発表] 自閉スペクトラムの科学的支援にむけて(2)2021

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣・溝川 藍・別府 哲・浅田晃佑・本田秀夫・日戸由刈・森村美和子・藤野 博
    • 学会等名
      日本心理学会公開シンポジウム
  • [学会発表] 読書が育む社会的能力.2021

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣
    • 学会等名
      日本認知科学会「学習と対話」研究分科会
  • [図書] 子どもの育ちを考える 教育心理学2021

    • 著者名/発表者名
      高櫻 綾子
    • 総ページ数
      136
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      4254600267
  • [図書] 児童心理学の進歩 2021年版 物語理解と感情. 児童心理学の進歩2021. 金子書房, 33-58.2021

    • 著者名/発表者名
      日本児童研究所(監) 米田英嗣・間野陽子
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      金子書房
    • ISBN
      9784760899616
  • [図書] Decision Making by Individuals with Intellectual and Developmental Disabilities: Integrating Research into Practice. “Cognitive, Emotional, and Moral Decision Making in Adolescents and Adults with Autism Spectrum Disorder”を執筆2021

    • 著者名/発表者名
      Hidetsugu Komeda (Chapter 15) Ishita Khemka, Linda Hickson(Eds.)
    • 総ページ数
      568
    • 出版者
      Springer.
  • [備考]

    • URL

      https://raweb1.jm.aoyama.ac.jp/aguhp/KgApp?kyoinId=ymdbgdoeggy

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公開日: 2022-12-28  

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