研究課題
基盤研究(C)
幼児は他者から教わるだけではなく,自らも他者に教えたがることが日常生活において観察される。効果的に他者に教えるためには,教える内容や目的に応じて教え方を調整する必要があり,本研究では次のようなことが明らかになった。1)幼児が目的に応じて教え方を調整することは,今回の研究では見いだせなかった。2)幼児は,他者の学習プロセスに応じて,教え方を調整することは可能であり,特に5歳児は学習者を主体にした教え方が可能になった。3)教え方の調整能力は,抑制機能の発達と関連していることが示唆された。
発達心理学
子どもは大人から「教えられる」存在としてみなされがちであるが,幼児期であっても子どもは,他者のために教えることができることを,統制された場面で示すことができたことは,発達心理学的に意義が大きい。また,幼児の教示能力の高さを再確認することは,保育や子育てにおいて,子ども自身が他者に対して教える機会を増やすことにつながり,教育される存在としての子ども観を変更して,実践上の工夫を進めるという社会的意義もある。