研究課題/領域番号 |
18K03042
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
小泉 令三 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90195644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 社会性と情動の学習 / キャリア発達 / 社会性と情動のコンピテンス / 定時制高校 / 社会的能力 / 社会的自立 |
研究実績の概要 |
本研究は,教育的援助ニーズを有する定時制高校生や若年就業希望者を対象に,「社会性と情動の学習」(SEL)の枠組みにもとづく「キャリア発達のための社会性と情動の学習」(SEL-8Career=Social and Emotional Learning of 8 Abilities for Career Development)プログラムを開発し,社会的能力の向上および社会的自立における効果を検討することが目的である。本年度は次の3点を実施した。 (a) SEL-8Career プログラム開発:米国の多数のSELプログラムから演繹的に抽出されている8つの社会的能力の構成にしたがって,SEL-8Careerプログラムの開発を進めた。試行しながら修正を加える方法を取り,約半数のユニット(授業)案を作成した。 (b)SEL-8Career プログラムの実施:定時制高校の1つの学年でSEL-8Careerプログラムを試行し,社会的能力の向上を検討した。また,若年就業希望者への支援を行う企業を通して,教育的援助ニーズを有する若者に関する情報を収集した。この過程で,定時制高校のみならず専門学科や総合学科を有する高等学校についても,本研究で注目する教育的援助ニーズを有する生徒が一定割合在籍していることが判明した。 (c)キャリア発達社会的能力尺度作成と効果測定:対象者の発達段階相応の社会的能力を測定する自己評定式のキャリア発達社会的能力尺度を作成し,妥当性と信頼性を検討した。その結果,妥当性と信頼性のどちらも問題のないレベルにあり,今後の研究に利用できることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,(a)「SEL-8Careerプログラムの開発」について,プログラム全体の作成を2018年度内に終える予定であったが,定時制高校生の実態に合わせるための修正作業に時間がかかり,完成に至らなかった。(b)「SEL-8Career プログラムの実施」のプログラムの試行と,(c)「キャリア発達社会的能力尺度作成と効果測定」の尺度作成および妥当性・信頼性検討は計画通りに進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次のように研究を進める。 (a)SEL-8Careerプログラムの開発:全ユニット(予定では26)を完成させる。その際,当初の予定通り多様な実施方法を念頭に,モジュール化(小区分化)しての実施にも対応できるものとする。 (b)SEL-8Careerプログラムの実施:定時制高校の全学年で実施する。就業支援企業での試行については,続けて参加者募集の手続きを行う。なお,高等学校の専門学科または総合学科での試行を加える。これは,前年度の情報収集の過程で,これらの高校生の中に本研究で注目する教育的援助ニーズを有する生徒が一定割合在籍していることが明らかになったためである。これに関する研究協力者を新たに依頼する予定である。 (c)キャリア発達社会的能力尺度作成と効果測定:SEL-8Careerプログラムの試行・実践における効果測定に使用する。また,可能な範囲で定時制高校卒業生の追跡調査により予測可能性の検討を行う。
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