研究課題/領域番号 |
18K03045
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
永久 ひさ子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (90297052)
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研究分担者 |
伊藤 裕子 文京学院大学, 人間学部, 非常勤講師 (50296357)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 晩婚化 / 少子化 / 未婚女性 / 出会い / 結婚 / 子ども / 女性の社会進出 / 伝統的子育て観 |
研究実績の概要 |
30歳前後の未婚女性10名へのインタビュー調査を行なった。結婚観の違いを考慮して、地域や仕事内容の多様化に配慮した。調査内容は、仕事の内容と状況、結婚意欲、子どもと結婚の価値、過去の恋愛と現在の恋愛状況、生育家族についてなど、約1時間半の半構造的面接調査を行なった。未婚である理由について、M-GTA法による分類の途中である。また、今後さらにインタビュー調査を継続予定である。 ここまでの結果は以下のとおりである。結婚したい理由は、1子ども 2居場所としての家族 3周囲の期待である。結婚時期は、1 近々結婚する 2 いつでもいい 3 今の仕事を納得いくまでやってから 4 結婚はどちらでもいい であった。未婚理由は、交際相手有りでは、①自分がまだ一人前でない ②相手の転勤 ③相手がまだ一人前ではない ④相手が結婚しようとしない であった。交際相手なしでは①恋愛する余裕がない②婚活が億劫③婚活が不調 であった。仕事の状況では、やりがいがある 自分に向かない であった。子育て観は、①母親と同じように、自分の手で可愛がって育てたい ②親の近くに住んで援助してもらいたい ③自分と同じく保育園 ④もう子どもは無理かもしれない であった。 まだ10ケースではあるものの、分析から、女性の仕事が高度化する一方で、子育てについては、母親と同じく多くの時間を子育てに使いたいという矛盾が晩婚化の一因であると思われる。 この結果は、日本発達心理学会第30回大会、World conference of women study にて、ポスター発表を行なう。 また、未婚女性における子どもの価値は、結婚意欲を左右する重要な要因で、晩婚化の結果としての少子化だけでなく、子どもの価値の低下が、晩婚化・未婚化に繋がっている可能性も示唆された。この結果は、日本心理学会第83回大会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は首都圏と地方在住の30歳前後の未婚女性10名に、インタビュー調査を行なった。平均初婚年齢の高い首都圏と、低い地方、専門職と一般職 というバリエーションをもたせた10名であった。しかし、収入が自立可能な水準か否か、など、他の要因も勘案する必要があることが判明したことと、同じ年代で既婚の女性のインタビューを追加することで、両者の違いを明らかにできると考えたため、インタビューの対象を増やすこととした。そのため、インタビューの協力者を探す時間と、インタビューの時間を取る必要が生じて、予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、インタビューの対象者を増やし、その分析から仮説を生成して、今年度中には予定どおり、web調査を行う予定である。 インタビュー協力者を雪だるま方式で探していたが、これまでのデータを分析し、M-GTA法により、必要な協力者の属性に焦点化して、協力者を募る予定である。具体的には、転居しても就職可能な資格を持つ女性、経済的に自立可能な資格を持つ女性、就業継続が困難な職場文化に身を置く女性、資格がない非正規就業の女性を対象として探したい。そのため、卒業生に広く協力を募り、紹介を求める予定である。 そのデータの分析から、恋愛、結婚、仕事、子どもという複数の経路が、ライフコース選択をどう左右するのか、それが、 女性の社会経済的背景によりどう異なるのかについて、仮説を生成し、12月に首都圏と地方とでweb調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、インタビュー調査を大学院生に依頼して実施する予定であったが、実施途中で、半構造的面接調査を調査目的に沿って深めるには、力量不足であることが判明した。インタビュアーを変更して研究代表者が全てのインタビュー調査を行うこととしたため、調査が予定数に達しなかった。 また、分析途中で、インタビュー対象に、同じ地域・年齢層の既婚者を加える必要があることが判明したため、新たにインタビュー協力者を募っている。そのため、インタビュー調査を2年目も継続することとし、次年度使用額が生じた。
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