研究課題/領域番号 |
18K03046
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
秦野 悦子 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (50114921)
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研究分担者 |
瀬戸 淳子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (70438985)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インクルーシブ保育 / 保護者支援 / 家族支援 / アクションリサーチ / メゾシステム / 支援ニーズ / コンサルテーション / カンファレンス |
研究実績の概要 |
1 保育者に「保育を通しての保護者支援・家族支援」の実態と意識調査については、文献研究を行い本研究の位置づけを明らかにした。。また保育巡回相談を活用した保育園を対象に継続的に予備調査を行い調査内容を精選した。予備調査内容としては、要支援への気づき、保護者支援に向けての関係作り、具体的な支援についての自由記述を中心とした簡便な質問紙およびヒアリングを併用した。 2 保護者を対象に①子育て情報の収集、②子育ての相談相手、③地域子育て支援の活用、などから生態学的子育て親が持つ子育てネットワークシステムを明らかにする調査を実施した。三世代同居環境と核家族環境など居住形態の違いも考慮した家庭教育の考え方、育児文化の継承性、育児文化の世代間伝達、子育てサポート源とサポート内容(情報的サポート、道具的サポート、情動的サポート)についての調査結果の分析を進めた。 3 保育コンサルテーションでの園内カンファレンスにおける協同の意思形成プロセスを分析については、パイロット的にデータを収集し、分析の枠組みを検討している。データ収集および、プロトコルを作成後の質的分析を検討した。 4 特定自治体において、公立保育所保育士を対象とした年間6回、各3時間の「保育支援コーディネータ連続研修」を企画、実施した。各園からの事例の分析を通して、保護者支援・家族支援実践の実態、問題点、課題を抽出し、共通理解を深め、具体的対応を模索した。具体的には①保育支援コーディネータの意義と役割(各園での保育支援コーディネータの実際)、②保育における家族・保護者への支援(各園での保護者のニーズに応じた対応の実際)、③保育における個とクラス集団への支援の実際、④多機関の専門家との協働的な連携の実際、⑤園内の支援体制づくりのあり方、⑥保育支援コーディネータ―による保育士支援を実施した。内容、研究成果と課題についての分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究を通じて次の4点の研究を進めている。それぞれについての状況は次の通りである。 1 保育者に対して「保育を通しての保護者支援・家族支援」の実態と意識調査の準備は予定通り進展している。 2 保護者の子育て環境の違いによる子育て支援の実態については順調に分析を進めている。 3 保育コンサルテーションでの園内カンファレンスにおける協同の意思形成プロセスを分析については、十分に検討が行われたとは言い難く、数名の予備的分析にとどまっている。研究1~2年目に予定していたので遅れているわけではないが、十分な時間が作れなかった。 4 保育における保護者支援・家族支援の専門家育成の研修プログラムについては当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の研究を通じて次の4点の研究を進めている。全般的にはほぼ順調に進んでいるので、申請時当初の研究企画の変更や修正はなく、引き続き2年目の研究を進めていく。最終的には、それぞれの研究を総合して幼児期の子育てに対する「インクルーシブ保育を通しての保護者支援・家族支援システムの構築」を行う。 1 保育者に「保育を通しての保護者支援・家族支援」の実態と意識調査を行う。 2 保育施設利用保護者に支援ニーズ調査を行うための予備調査を2年目に実施し、調査の企画立案を行う。また三世代同居環境と核家族環境など居住形態の違いも考慮した家庭教育の考え方、育児文化の継承性、育児文化の世代間伝達、子育てサポート源とサポート内容については引き続き分析を進める。 3 保育コンサルテーションでの園内カンファレンスの分析については、時間を必要とするので、本年度に集中的に進めていけるようなロードマップを作成し、実施していく。会話分析の方法についての分析ツールの検討も進めていく。 4 これまでの研究成果を踏まえ、1年目の成果を翌年の研修企画に反映させるアクションリサーチを通し、保育における保護者支援・家族支援の専門家育成の研修プログラムを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
4つの研究を同時に進めており、いづれも予備調査、準備調査であった。研究のロードマップを探索的に検討していることもあり、分析、資料収集、プロトコル作成などの研究補助者への依頼までに至らなかった。今年度の後半に予定していたビデオ分析を翌年度に集中的に実施することとした。 使用計画としては、①保護者意識調査、②保育支援者支援調査、③カンファレンスプロトコル資料作成、④文献、⑤研究発表などについての予定している。
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