研究課題/領域番号 |
18K03048
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
椎名 乾平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60187317)
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研究分担者 |
久保 沙織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70631943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 相関係数 / バイアス / polychoric相関係数 / 評定尺度 |
研究実績の概要 |
ピアソンの相関係数rは2変数間の相関関係を表現するための標準的なツールであり,高等学校数学での必修項目でもあり,さまざまな社会科学.自然科学分野で使用されている.この係数の範囲は[-1,1]とされるが,椎名ら(2011)は2変数のカテゴリー数が異なる場合,相関係数が1あるいは-1に成りえないことを発見し,それに付随して相関係数の絶対値がかなり減少する現象を発見した. 本研究の第1の目的は,カテゴリー数が異なる場合の相関係数のバイアスについて,どのような範囲でどの程度のバイアスがかかるのかを,理論的あるいは経験的に調べることである.そのためにに大規模な計算実験を行った.その結果,標本相関係数rの標本平均値は真の相関値ρに対してロバストに過小評価され,またこの過小化バイアスがカテゴリー数の増加と共に減少するのが明らかになった.ちなみに,この実験では168億3800万個の相関係数を発生させ相関のバイアスについて確認している.結果は2019年に公刊された。 第2の目的は,バイアスの存在について,心理学者のみならず相関係数を使用するすべての科学者・実務家に伝達することである.この目的のために,教育心理学,心理学の学会で発表・論文発表を行った.またコンピュータ教育の学術誌に論文掲載した。 第3の目的は,バイアスが回帰分析,因子分析等のような手法にどのような影響を与えるのかを調べることであるが,現在鋭意調査中である. 第4の目的はどのようにバイアスを取り除くかという問題であるが,polychoric相関係数を用いるのが標準的であると言われる.そこで,polychoric相関係数の 新しい計算法を提案・公表済である.この手法はEMアルゴリズムを用いるもので,画期的なものと自己評価している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の4つの目的の内 三つは概ね達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
第2の目的(バイアスの存在について,心理学者のみならず相関係数を使用するすべての科学者・実務家に伝達すること),および,第3の目的(バイアスが回帰分析,因子分析等のような手法にどのような影響を与えるのかを調べること)の達成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
New York市での国際学会に参加予定であったが,都合により参加できなくなったため. 運営経費として使用予定である。
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