研究課題/領域番号 |
18K03050
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田中 あゆみ 同志社大学, 心理学部, 教授 (00373085)
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研究分担者 |
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 動機づけ / 達成目標 / 認知機能 / fNIRS |
研究実績の概要 |
令和元年度は,達成目標と失敗経験後の課題練習中および本課題中の前頭葉賦活との関連を検討する実験を,大学生65名を対象に行った。参加者を,具体的な目標得点を伝え課題を行わせた後に偽の失敗フィードバックをする群(実験群)と,目標を与えずに課題を行わせ実際の点数を伝える群(統制群)にランダムに振り分けた。失敗の操作後,1分間課題を練習する時間を設け,その後, 同じ課題をもう一度行ってもらった。実験課題として用いたのは,CANTABに含まれるSpatial Working Memory(SWM)課題で,37chのfNIRSを用いて,実験中の前頭葉の脳賦活を測定した。さらに実験中の不安および認知的干渉も測定した。また,Elliot, Murayama, Kobeisy, & Lichtenfeld (2015)の尺度を用いて,大学の授業全般に対する達成目標を測定した。実験の結果,第一に,練習中の脳賦活に対して,mastery-avoidance目標得点が高いほど,群にかかわらず脳賦活が低下するという負の主効果と,その関連は,失敗を経験させた実験群のほうが強いという交互作用が有意だった。これらの効果は不安や認知的干渉を統制しても変わらなかった。第二に,練習後に行ってもらった課題における脳賦活について,群に関わらず,performance-avoidance目標が強いほど賦活が低いという負の関連が有意だった。この関係は不安や認知的干渉を統制すると弱くなり,また不安や認知的干渉と脳賦活には負の関連があったことから,performance-avoidance目標が高まると,不安や認知的干渉が高まり,脳賦活を下げるという媒介効果があることが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は,計画における研究1と2aを発展させたものであり,達成目標の効果を新たな課題を用いて検討した。しかし,fNIRSのデータに対する詳細な解析が終了していないため,研究進捗がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R2年度は,fNIRSデータの解析に特に焦点をあてて研究を推進する。また,達成目標が課題パフォーマンスに及ぼす影響に対して,メタ認知との関連を含めた検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,2月以降コロナウイルスの関係により,学会や打ち合わせなどの出張が中止になったため。今年度に,成果発表・論文執筆のための資料取り寄せや購入費,データ整理や分析を行うアルバイトへの謝金,研究打ち合わせのための出張費,論文執筆に際しての英文校正費用および出版費としての使用を計画している。
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